マカダミアナッツを名産品に、熱帯植物友の会が試験栽培【宇部】
夏の暑さが年々厳しくなる中、近い未来に宇部市で常夏の風景が身近になるかもしれない。熱帯植物の愛好家でつくる「熱帯植物友の会」(吉冨勉会長)では、昨年から市内でマカダミアナッツの複数の品種について、鉢植えでの試験栽培を行っている。将来的に地元の名産品になることを期待している。 きっかけは、約5年前に吉冨会長がマカダミアの苗木1本を自宅の庭で育て越冬したことだった。市内で露地栽培方法を確立できれば、地元の発展や環境保護など、さまざまな面で役立つと考えた。 会として露地栽培の実証実験を本格的に行うため、市の「SDGs私たちの未来共創補助金」に申請。市内の休耕田や荒廃地の有効活用、環境保護、過疎地域の活性化を掲げて採択された。 市は、マカダミアを休耕田などに植えることで二酸化炭素の削減につながること、独自性があること、成功した場合に市内に普及させることができることなどを評価した。 「バーモント」「クーパー」「バーディック」「A-16」など6品種の苗木を購入。昨年9月から吉冨会長宅など4カ所で育て始めた。 最大の課題は気温だという。耐寒性は品種で異なり、氷点下4度前後のものもある。市のホームページによると、昨年と今年の冬は、1月に最低気温が氷点下2・5度を記録。全品種が越冬したが、さらなる寒波も懸念される。 開花と結実に向け、今年度も補助金の継続が認められた。吉冨会長は、露地での開花に4~5年はかかると考えている。「温室なら市内でも育成は可能だが、設備投資に費用がかかる。露地栽培なら金銭的にも作業的にも負担は大幅に軽減する。市内産のマカダミアを使ったお菓子などで地域おこしができれば。課題は多いが、トライ・アンド・エラーの精神で頑張りたい」と語った。