熊本・菊陽町でTSMC従業員ら稲刈り 地下水保全の大切さ学ぶ
台湾から熊本県菊陽町に進出した半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)は19日、地下水の保全の大切さを理解し、地元との交流も図ろうと稲刈りイベントを開いた。従業員とその家族ら約50人が参加し、JA菊池や同町職員ら約20人の指導で刈り取った。 【画像】水田の地下水を工場に使用する流れ 半導体の製造には大量の水が欠かせない。年内に量産開始予定の第1工場は年間310万トンの地下水をくみ上げる計画で、地下水の減少や排水への懸念が絶えない。このため地下水のかん養につながるとして同社は8月、同町と大津町、JA菊池と水稲作の推進と農業振興に関する協定を締結した。社員食堂用の地元米も、流通価格に値段を上乗せして購入している。 従業員や家族は、6月には菊陽町内の水田10アールで田植えを体験した。この日は「鎌で足を切らないように」などと教わりながら、見よう見まねで稲刈り。親子で参加した台湾人の男性は「地下水に恵まれた所なのに、それを守ろうという意識が高いことが素晴らしい」と話した。収穫米は参加者に配布される予定という。 稲刈り後は、参加者一同がバーベキューを囲んで触れ合った。生産を担う子会社JASMの堀田祐一社長は「農家にとって米の価格が十分でないため、休耕田が増えるといった実情も学ばせてもらった。私たちが協力することによって水稲作が増えれば、共存できるのでは」と期待した。 (藤崎真二)