「ソーシャルインパクト採用」を活用する省庁や自治体が増えている

来春の機構改革で「営業部」を創設する大阪府河内長野市は、シティプロモーションを担当する部長級の「営業部長」（仮称）の公募を始めた。記者会見した西野修平市長は「役所に不足しているのは稼ぐ力、魅力を売り込む力」と指摘し、「河内長野の魅力を引き出してくれる人、われわれの想像を超える人材に応募してほしい」と期待を込めた。 同市は来年4月に現在の11部を4局12部に再編する予定で、成長戦略局の下に営業部を新設する。今年8月に就任した西野氏の公約でもあり「あえて『営業部』という名称にこだわった。市を商品に見立てて売り込んでいく」と説明。営業部長はシティプロモーションのほか、ブランディング、ふるさと納税、資産運用などを担う。 応募資格は、民間企業での広報・PR関連の実務経験（5年程度）▽組織マネジメントの経験▽メディアなどとの幅広いネットワークや交渉・調整力－があるなど。任期は令和7年4月～11年3月。部長級待遇で年収1千万円以上。11月17日まで受け付け、書類審査や面接を経て決定する。 地方自治体が幹部職員を公募するケースは増加している。同府四條畷市が平成29年に副市長を公募したところ約1700件の応募があり、元リクルート勤務の女性が採用された。河内長野市や四條畷市の公募に携わる総合人材サービス会社「エン・ジャパン」（東京）は、自治体や省庁など社会的なインパクトの大きい人材採用を「ソーシャルインパクト採用」と呼び、力を入れている。 同社によると、四條畷市を皮切りに今年7月までに約160件の利用があった。約半分を地方自治体が占め、3割が中央省庁、残りは企業や団体という。担当者は「ITやプロモーションの専門人材が自治体におらず、公務員のなり手不足もあって活用事例は増えている」としている。（中野謙二）