民主党候補が全員TPPに反対 米大統領選で加熱するTPP論争
アメリカ大統領選で各党の候補者を絞り込む「予備選挙」が、いよいよ明日スタートする。白熱する各候補の選挙運動で今、一つの争点となっているのが、TPP(環太平洋経済連携協定)に対する賛否だ。民主共和両党の候補者はイベントや討論で頻繁にTPPについて取り上げており、自身の立場を明確にすることで、他候補との差別化をはかろうとしている。 面白いことに、オバマ大統領が所属する民主党の候補者3人は、全員がTPPに反対している。逆に、野党である共和党では賛成を表明する候補者が少なくない。次期アメリカ大統領となりうる候補者たちは、TPPをどう考えているのか。
民主党候補はクリントン氏筆頭に全員反対
民主党で元国務長官のヒラリー・クリントン候補は早期からTPP交渉に関わっており、TPP支持を表明していた。ところが最近になってTPPを批判するようになり、態度を翻している。TPPの「最終合意」の内容がクリントン氏の当初の期待を満たさない結果に終わったというのが、態度を変えた理由という。
クリントン氏は「TPPの最終合意の内容は、アメリカ人の賃金を上昇させるものにはならない」と説明し、批判に転じた。しかしこうしたクリントン氏の態度の変化は、「言い訳だ」、「民主党左派からの支持を得るための変化で、不誠実だ」などの批判も浴びている。 民主党の他の2人の候補も、TPPに明確に反対している。上院議員のバーニー・サンダース候補も「TPPは労働者の賃金に対する企業の勝利である」として、「TPPと戦う」と話している。元メリーランド州知事マーチン・オマリー候補は、TPPの存在が企業の環境保護や労働者保護のための規制を弱めかねないとして、反対を表明している。
共和党反対派「アメリカが日本に寿司のように巻かれる」
野党・共和党では、「賛成派」と「反対派」が拮抗している。 反対派の筆頭は、過激な発言が話題を呼び、共和党候補の中で大きな人気を誇るドナルド・トランプ候補。TPPを「ひどい協定」と呼び、「アメリカを犠牲にして日本が大きな利益を得る協定で、その隙に中国が裏口から侵入してくる」として反対する。元アーカンソー州知事のマイク・ハッカビー候補も「アメリカ人の職を奪い、アメリカが交渉で『(日本に)寿司のように巻かれてしまう』」として、TPPに反対している。ニュージャージー州知事クリス・クリスティ候補、元ヒューレット・パッカード社CEOカーリー・フィオリーナ候補も、反対を表明している。