賃金アップは“一部の大企業”だけ。大半は「年収400万円台でなんとか暮らす」貧乏日本…高校生「お金持ちになるには、どうすればいい?」【進路指導のプロが回答】
物価も税金もどんどん上がる一方で、賃金は相対的に下がっています。貧しくなっていく日本のなかでお金持ちになるには、どうすればよいのでしょうか? 山内太地氏・小林尚氏の共著『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、見ていきましょう。本稿では、年間約150回の進路講演を実施する山内太地氏が回答します。
「お金持ちになるには、どうすればいい?」高校生からよく聞かれるが…
お金持ちになりたいという高校生が結構います。僕は別に悪いことだとは思いません。自分のやりたい仕事でしっかり社会に貢献し、高い賃金を得てよい暮らしをするという夢を抱くことは構わないと思います。問題は、今の日本では高い収入を得る仕事が限られていることです。 一部の大企業の給料や新卒の初任給は上がっていますが、大多数の一般の人の給料は、残念ながら30年ほど下がり続け、日本は今や先進国の中でも貧しい国になってしまいました。すでに部長以上の給料は東南アジアのタイにも負けているそうです。 高校生のみなさんは、大卒初任給20万円というと大金に思えるでしょうが、30年前からほとんど上がっていません。ところが、物価はどんどん上がっています。税金もどんどん上がっています。僕たちは、貧乏になっているのです。アメリカや香港に行けばラーメン1杯3,000円とも4,000円とも言われています。もはや貧しい日本人は海外旅行に行くのも難しくなってきました。 世界中から観光客が日本に来てくれますが、それは日本の物価が安いことが理由の一つです。若い頃、物価の安い東南アジアや中国に旅行に行った経験がないか、周りの大人に聞いてみてください。僕も2000年に大学の卒業旅行でベトナムに行きましたが、フォー(ベトナムのうどん)は1杯50円でパクチー入れ放題。ずいぶん安かった思い出があります。でも、今は違います。 どうして日本は給料が下がり、景気が悪い時代が30年も続いて衰退しているのでしょう。くわしく書くのは本書の目的ではないので、自分で調べてください。理由の一つには少子高齢化があります。人口が減り、モノを買う人が減って、モノが売れなくなり、会社が儲(もう)からないので、給料が上がらないのです。 そんな時代しか知らないあなたが、豊かになりたいと思うのは当然でしょう。国も地域も貧しくなり、多くの人は年収400万円台でなんとか暮らしているのです。経済的にもっと苦しく、大学に行くのもままならない人もいるでしょう。日本の子どもの6人に1人が貧困状態と言われています。海外の貧しい国の子どもを救いたいという高校生がいますが、あなたが助けないといけない子どもは隣にいるのです。 では、そんな日本でお金持ちになるにはどうしたらいいのでしょうか? 【方法(1)】給料が高い会社に入る まずは給料が高い会社に入ることです。大阪に本社のある電機メーカーのキーエンスは平均年収2,183万円(2023年:平均年齢36.1歳)です。すごく高い給料ですね。みなさんが名前を知っている大企業も、ネットで調べれば給料の額はわかりますから、そういう会社を目指すのも手でしょう。 もちろん、有名な大学に入ったり、高度な専門性を身につけたり、入社試験でPRできるような経験を大学生時代に積んでおく必要があります。あなたが入りたい、給料が高い大企業にとって、あなたが必要な人材にならなければいけません。誰もが入れるわけではないのです。 【方法(2)】起業して社長になる もう一つの方法が起業です。どんなに給料が高い大企業に入っても、仕事で成果をあげても、会社が定めた賃金以上の膨大な収入を得ることはできません。 僕はかつて出版社の編集者で20万部のベストセラーを出しました。作家の先生には多額の印税が入りましたが、出版社の社員である僕はいつもどおりの給料でした。そこで僕は思ったのです。自分で作家になればいいと。そして独立しました。 今や東大生でも、官僚や大企業ではなく、外資系企業を目指したり、自らベンチャー起業家になる人が増えているそうです。この本の共著者の小林先生もそうですね。若いみなさんには豊かな才能があります。時間もあります。日本人の給料は30年間上がらず、ほかの先進国やアジアの国々に先を越されています。あなたはどうしますか? 幕末の坂本龍馬や西郷隆盛や高杉晋作といった維新志士を思い浮かべてください。彼らは好き勝手できたのではありません。藩の上役は頭が固い老人ばかり、しかも権力はあり下手をすれば切腹させられます。そんな状況の中で必死にもがき苦しみ、明治維新を成し遂げた彼らが、僕には、現代の高校生や大学生と同じに見えるのです。 人口の多い老人ばかりが国家や経済の中枢を握り、選挙に行くのも人口が多いお年寄りばかりです。僕たちの世代ですら、若いみなさんの足を引っ張っているかもしれません。 でも、苦境だからこそみなさんは改革者として時代を変えることができるのです。