「値上げはやむを得ない」改定率は給水収益の10%程度 南房総の水道経営審(千葉県)
南房総市長の諮問を受け、水道料金の改定について審議していた、同市水道事業経営審議会(会長・石井教宇市議、委員10人)は5日、「給水収益で10%程度の引き上げが妥当」とする答申書を、石井裕市長に手渡した。 給水人口の減少や節水機器の普及などによって、給水収益が減少している中、能登半島地震など多発する自然災害への対応、老朽化した浄水場や配水設備の更新、技術伝承のための人材育成など、さまざまな課題があり、収支予測では今後、赤字が増大し、財源不足も見込まれている。 そのため、将来的に健全な経営を進めていく観点から、今後の水道料金体系と適正な料金の在り方を考えようと、昨年7月に同審議会を設置。市議や学識経験者、水道使用者が委員に委嘱され、5回の審議を重ねてきた。 答申では、料金改定については「水道料金の値上げはやむを得ない」とし、改定率については、給水収益で10%程度の引き上げが妥当として、現在の料金体系を維持し、高齢者の単身世帯や地域の雇用を担う大口使用者への配慮も求めた。 同市内には、同市営水道と三芳水道企業団の二つの水道事業体から上水道が供給されているため、格差が生じないよう調整し、水道使用者に対して十分な周知期間を確保した上で、改定を行うことなどの内容も盛り込んだ。 また、水道料金の大幅な値上げは、市民生活にも大きな影響が生じるとして、今後もおおむね3~5年ごとに料金見直しの検討をし、大幅な値上げにならないよう努めてほしいとの意見も付け加えられた。 答申を受け同市では、今後開かれる市議会定例会に料金改定の条例改正案を上程する予定だという。議決されれば、平成30年4月以来の改定となる。