【大学野球】監督からの揺るぎない信頼を受ける立大・吉野蓮
いつも以上のボルテージで
【10月6日】東京六大学リーグ戦第4週 立大2-1早大(1勝1敗) 一塁ベンチで母校を指揮する立大・木村泰雄監督の全幅の信頼は、揺るぎなかった。 「吉野で勝つ!!」 立大は1点ビハインドの5回裏に追いつくと、6回裏に勝ち越し。3回から二番手で救援した竹中勇登(3年・大阪桐蔭高)が7回まで5回無失点と好投し、流れを呼び込んだ。「8回から行くか、9回からにするか……」。木村監督はやや迷ったが、8回から吉野蓮(3年・仙台育英高)に試合を託した。 前カードの第2週・法大戦。吉野は3回戦で勝ち越した直後の8回表から救援も、この回に3失点で逆転を許した。4回戦は3イニング目となった13回裏、サヨナラ本塁打を浴びた。リリーフエースが2敗を喫し、勝ち点を落とした。第3週は空き週。吉野は明かす。 「木村監督と戸村コーチ(戸村健次)からは『良いボールがいっている。自分を信じて投げろ』と。落ち込むこともありましたが、悔やんでいても仕方ない。次に向けて切り替えました」 ダイナミックなテークバックから140キロ台中盤のストレートは威力がある。追い込んでからは、鋭く落ちるフォークがウイニングショット。早大戦までの期間、戸村コーチと自らのスタイルをもう一度、確認した。自信を持って、早大との第4週を迎えたのである。同2回戦。いつも気迫を前面に出していくが、この日のボルテージはいつも以上だった。 「(法大3回戦で)竹中の勝ちを消してしまったので、死に物狂いでマウンドに上がりました。ベンチからは『法政戦の借りを返せ!!』と。感情がこみ上げてきました」 8回表は先頭打者に安打を許すも、三振の後、投ゴロ併殺で切り抜けた。9回表は二死から安打。迎える打者は、今春の首位打者で一番・尾瀬雄大(3年・帝京高)。フォークを多投した。「真っすぐに合っているイメージがあった。かわした形ですが……。フォーク? 自信はあります」。最後は二ゴロに仕留め、1点差を逃げ切った。雄叫びを上げた。
聞くまでもないが、木村監督に質問した。信頼は変わらないのか? 即答した。「変わらないです。打たれることもある」。指揮官の言葉を横で聞いていた吉野は「使われることに感謝し、努力していきたい」と力を込めた。 1勝1敗のタイ。今春は1回戦で先勝を許した後、2回戦に雪辱も、3回戦を落とした。 「明日は、何が何でも勝ちこだわる」 木村監督の言葉は、心に響くものだった。立大の勝利のマウンドには必ず、吉野がいる。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール