黒木華、「子どもが欲しい」思いとどう向き合うか 描く理想の将来像
「年を取るって最高だよ!」と言ってくれる先輩たち
――年齢を重ねていくことを、つい後ろ向きに考えてしまうこともありますが、黒木さんはそんな時どうされていますか? 黒木: 50代、60代の先輩たちの中には「50代になるとすごく楽しいよ」とか「年を取るって最高だよ!」と仰る方が多いんです。それが私の中で割と刷り込みのようになっているので、「どうすれば楽しくなるんだろうな」ということを考えます。 もちろん悩むこともありますよ。例えば、私は子どもが欲しいと思っているのですが、「産めない年齢になってしまった時はどうしよう」と思うこともあります。でも、子どもがいなくても幸せな方たちは周りにたくさんいるし、「今あれこれ悩んだとて」となるべく前向きに考えるようにしています。先のことを悩むよりも、今は体力をつけて健康な体を作りたいです。 ――黒木さんが思い描く「将来の楽しい自分」はどんな姿でしょうか。 黒木: やっぱり自由なことですかね。以前、ある先輩女優さんが、キャリア的にも安定して、ある程度お金も持っていて、休みも自分で決められるし、「もう好きなことしかしない!」と仰っていたのですが、そこに至るまでには、きっとその方がこれまで積み重ねてきたものがあるからこそだと思うんです。 ――将来自由でいるために、今やっておきたいことはありますか? 黒木: 色々な国に行ってみたいですね。私はイギリスのロンドンが好きで、よく舞台を観に行くのですが、舞台だと難しい単語や表現もあってよく理解しきれないところがあるので、今は英語の勉強をしています。そういうものをなくしたらもっと世界が広がるし、楽しい趣味も増えると思うので、これからも色々な経験をしていきたいです。
失敗もいつか絶対自分の糧になる
――仕事や結婚と、人生の選択に悩む女性を演じられましたが、ご自身は「これを選んだから今がある」と思えるものはありますか? 黒木: 私は自分の好きなことを見つけられたことが大きいですね。「お芝居」という何だかよく分からないものを好きになり、それを職業にすることができたのは幸運だなと思っています。 今は選択肢が多すぎて「自分は何になりたいのか」、「やりたいことが分からない」という人もきっとたくさんいると思います。その中で私は「これが好き」と思うものを見つけられたし、そのための行動ができた。その結果、野田(秀樹)さんの舞台のオーディションに受かって事務所に入ることになった。そういう偶然や人との繋がりで今の私があるので、好きなことを見つけられたことが自分の人生の中で一番大きいことです。 ――「好きなものの見つけ方が分からない」という人に、ぜひアドバイスをお願いします! 黒木: きっと色々なものを見ないと、何が自分に合っているか、自分がどんなものを好きかなんて分からないと思うので、なんでもやってみた方がいいんじゃないかな。やってみて合う、合わないが分かることもあると思います。何事も経験しないよりはした方がいいです。失敗もいつかは絶対自分の糧になりますから!
●黒木華(くろき・はる)さんのプロフィール 1990年、大阪府出身。2010年、NODA・MAP 番外公演「表に出ろいっ! 」でデビュー。『小さいおうち』で第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞を日本人最年少で受賞。近年の主な出演作に大河ドラマ「光る君へ」、舞台「ふくすけ」、映画『八犬伝』などがある。 ■映画「アイミタガイ」 監督: 草野翔吾 脚本: 市井昌秀、佐々部清、草野翔吾 原作:『アイミタガイ』(中條てい著、幻冬舎文庫刊) 出演:黒木華、中村蒼、藤間爽子、田口トモロヲ、西田尚美、風吹ジュン/草笛光子ら 11月1日(金)より公開 © 2024「アイミタガイ」製作委員会
文:根津 香菜子