「新プロジェクトX」は大丈夫なのか…元NHK職員が警鐘を鳴らす「捏造」「過剰演出」の危険性〈過去の製作者たちが懺悔〉
---------- 4月6日、東京スカイツリーの建設工事を巡るドラマを描いた「新プロジェクトX」の初回が放送された。当日朝には「放送直前スペシャル」で過去の“神回”を振り返るなど、力の入れようが伝わってきた。 【一覧】テレビ局「本当は使いたくないタレント」…ワースト1位は意外な大御所…! 一方、NHKの元職員は「プロジェクトX」と後継番組「プロフェッショナル」には危うさがあると指摘する。NHKは捏造や過剰演出が問題となった過去を忘れてはいないか──。 ---------- 『「新プロジェクトX」放送開始! 元職員が指摘するNHK内の「温度差」…「ピンとこない」若手と“苦労自慢“ばかりのベテランたち』より続く…
かつての「プロジェクトX」制作者たちの懺悔
旧「プロジェクトX」は“捏造”や“過剰演出”が問題視されることがたびたびありました。Wikipediaなどにも様々な事案がまとまっていますが、実は表になっていないだけでそうした事例は他にも多数あったとみられます。 というのも、「プロジェクトX」人脈に連なる人たちは、飲み会終盤で酒が回ってくると、自慢だけでなく決まって「本当は事実と違ったんだけど、番組チーフ・プロデューサー(CP)のプレッシャーに耐えかねてストーリーを作っちゃったんだよね」という懺悔を始めるのです。これには、私もたびたび驚きました。 NHKではよくあるのですが、「ストーリーテリング」を重視するばかりに、ニュースリポートやドキュメンタリーにおいても“脚色”を行うことがディレクターに求められます。大抵のディレクターは、最初は事実に即して番組を編集しているのですが、試写後にCPたちから「ここは、ストーリーが面白くないから、もっと面白くなるようにああ言いたい」と“圧力”を受けます。 最初のうちは毅然と、「それは事実に反します」と返していても、「それじゃ番組になんねえだろ!」とCPたちが声を荒げるうちに、屈してしまうのです。
「宣伝のために出して欲しい」という企業の要望
では、なぜ表ざたにならない事が多かったのか? それは、取り上げられた企業や団体にとっては、番組に取り上げられることの宣伝・PR的なメリットの方が大きかったからなのです。 ある意味では、NHKと取材先が“グル”となっていたわけです。実際、旧シリーズでも「何でも協力するから採用広報のためにもプロジェクトXに取り上げて欲しい」という企業からの要望は多数ありました。ちなみに、後継の「プロフェッショナル」も同様で、「宣伝のために出して欲しい」という要望を私自身、国内外でよく受けました。ツテも無いので断りましたが……。 新「プロジェクトX」も最初のうちは、ノーベル賞やアニメ、ゲーム等のメジャー級の逸話を題材にして問題無く構成できるとは思います。しかし、回を重ねてネタが苦しくなってくると、かつてのように、“捏造”や“過剰演出”に追い込まれてしまうのではないかと心配です。 NHK不信が急速に拡大する中、ちょっとナレーションの筆が滑っただけで、番組だけでなくNHKそのものの信頼失墜に繋がる恐れがありますから、くれぐれも慎重に制作にあたって頂きたいものです。
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