距離短縮6番は最終日の明暗分ける取りこぼし厳禁のパー5…コラム「王者の系譜」
◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 第2日(29日、東京よみうりCC=7002ヤード、パー70) 今大会のスローガンは「選ばれし者たちの、頂点へ」。そこに立つためのセオリーは、伸ばせるところで貯金を作り、難易度が高いホールでいかにしのぐか。終盤にスコアが激しく動く東京よみうりCCと向き合うトッププロの思考は「17番はバーディー、18番はボギーでやむなし、2ホール合わせてパー」。6番と17番の2つしかないパー5で、バーディー以上は必須だ。 コース改修により、6番は22ヤード短縮の519ヤードになり、多くの選手が第2打でグリーンを狙える距離となった。平均スコアは昨年の「4・583」から「4・216」(第2R終了時点)に浮上し、18ホール中最も易しいホールになった。今大会は出場30人のうち、初日はイーグルが3人、バーディーは16人。第2日はイーグル1人、バーディー24人。この2日間、ボギー以下は1人しかいない。 2日連続イーグルの河本力が残した第2打は両日160ヤード弱で、握ったクラブはパー5では異例の短さとなる46度のウェッジだった。「2日ともイーグルというのはたまたまだけど、間違いなくチャンスホールではある」。同じく飛ばし屋の幡地隆寛は「前は奥のOBがちらついて刻むという選択肢があったけど、今はより大胆に行ける」。攻略への自信をのぞかせた。 新設されたグリーンは傾斜と起伏がきつく、左にはバンカー、右側にはグラスバンカーが待ち受ける。芝がまだ新しいため、グリーン周りの難しさが“完成”するのは来年以降になりそうだ。7位に浮上した岩田寛はこの日、6番でイーグル逃しのバーディー。「グリーン周りの芝がまだあれだけど、今後難しくなっていくと思う」と語った。石川遼は開幕前に「これからどんどん、グリーンもグリーン周りのラフも含めて成長していって根付いていくものだと思う。ここからまた新しい6番ホールの歴史が始まるんだなという感じ」と期待した。 細川和彦セッティングディレクター(53)は「グリーンは他のホールに比べるとスピードは1フィートほど遅い。来年はなじむと思う。トッププロの攻め方や、アベレージスコアによっては、来年以降いろいろ検討する余地があるかもしれない」と、さらなるグリーン周辺の改造の可能性を含んだ。「前半唯一のパー5で、流れを変えられるホール。優勝争いへのコース攻略の鍵としては、イーグルかバーディーで抜けたいところ」と細川氏。パー以下なら“取りこぼし”。今大会の名物ホールの一つになりそうだ。(編集委員・高木 恵)
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