「背中を押してもらった」亡き妻に捧げたラストラン 一緒に巡った宮古島でトライアスロン 遺影を高く掲げゴール 埼玉の65歳熊谷淳さん
[第38回全日本トライアスロン宮古島大会] 「きつかったが、妻に背中を押してもらった」-。年齢制限で今大会最後となった熊谷淳さん(65)=埼玉県=は、昨年の大会直前に亡くなった妻洋子さん=享年(63)=の遺影を高く掲げて完走した。 健康のためにトライアスロンを始めて35年。長く続けることができたのは、洋子さんの理解があったから。大会に出る時は「けがなく帰っておいで」と笑顔で送り出してくれた。 宮古島大会6度目。2014年大会には洋子さんも同行した。17年に洋子さんに膵臓(すいぞう)がんが見つかったが、手術は成功し、1度は回復した。昨年1月には一緒に旅行もした。 だが、昨年3月ごろから病状が悪化し、23年大会直前の4月9日に帰らぬ人となった。熊谷さんは大会に出る予定だったが、辞退した。 洋子さんの死から1年余り。レース中は10年前に洋子さんと東平安名崎を巡ったことなどを思い出しながら走ったという。「妻に無事完走したよと伝えたい」と汗をぬぐった。