議長国の大統領「マクロン政権は13人殺した」「植民地支配を続けている」…COP29で騒動
【バクー=田中洋一郎】国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で、議長国アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領が「植民地支配を続けている」とフランスを非難し、反発した仏閣僚が交渉参加を取りやめる騒ぎとなっている。温暖化抑止に向けた各国の結束にほころびが生じ始めている。
アリエフ氏は13日、島嶼(とうしょ)国をテーマにした会合で演説し、フランスが海外領土を持つことは「新植民地主義だ」と批判。南太平洋の仏領ニューカレドニアで今年、先住民を中心とした抗議活動が暴動に発展し、死傷者が出たことを「正当な抗議だったのに、マクロン大統領の政権は13人を殺した」と非難した。
この発言に仏政府がすぐさま反応。仏紙ル・モンドなどによると、アニエス・パニエリュナシェ環境移行相が同日、「気候変動について話し合う場で、アリエフ氏は個人の考えを主張した」として、来週に予定していた交渉参加を見送ると発表した。
近年、両国の関係は険悪で、アリエフ氏は緊張関係にある隣国アルメニアに対するフランスの兵器供与に反発する一方、仏政府はニューカレドニアの暴動はアゼルバイジャンによる扇動が原因と主張している。
また、ロイター通信は14日、アルゼンチンの代表団が交渉から引き揚げたと報じた。理由は不明だが、ハビエル・ミレイ大統領はかねて「気候変動は存在しない」と発言し、温暖化対策に消極的な姿勢で知られる。