昼間も「月下美人」鑑賞可 咲くやこの花館が独自技術で開花調整
明るい昼間に花を咲かせることに成功
咲くやこの花館ではまぼろしの花「月下美人」が昼間、鑑賞できる THEPAGE大阪
大阪市鶴見区の大型温室植物園「咲くやこの花館」で、今年も月下美人が大輪の花を咲かせ、入館者の目を楽しませている。月下美人は夜咲く花だが、同館では開花調整を行い、明るい昼間に花を咲かせることに成功している。
独自技術で夜咲き美人と昼間にデート
月下美人はサボテンの仲間で、原産地は南アメリカ。優雅な花の姿で人気が高いが、夜間に咲いて1日で枯れてしまうため、なかなか観賞できない。長らくまぼろしの花とされてきた。 日中に花を観賞できるのは、同館独自の開花調整技術の成果。月下美人は本来夜咲く花で、午後9時ごろから午前2時ごろまでに開花し、朝方には花を閉じてしまう。 同館では開花調整室で昼夜逆転状態の環境を作り出し、月下美人の花が開館時間の午前10時ごろに開花するように設定。花を咲かせた株だけを館内に運び入れ、中央のフラワーホールで展示している。 同館で栽培している70株が2~3回花を付けるため、夏場の小休止をはさんで10月ごろまでほぼ連続して花を鑑賞できる。月下美人の花が日中、次々と咲き続ける施設は全国的にも珍しい。
美人の名にふさわしく気品と華やぎを併せ持つ
白い花ながら、清楚可憐にとどまらない。月下美人の名にふさわしく、気品と華やぎを併せ持つ。ガラス容器の水面に月下美人の花を浮かべるテラリウム展示では、間近に花を観察できるうえ、ほのかに甘い香りも体験できる。 案内スタッフの児玉萌(もえぎ)さんは「パキっと白くて大ぶりで、花の周囲のグラデーションも好きです」と、明快な口調で魅力を解説してくれた。
花が毎日鑑賞できるとは限らない
「月下美人を見るのは人生で初めて」と感動気味に話すのは、大阪府寝屋川市から訪れた60代女性。「もっと小さな花かと思っていましたが、大きいうえに上品で素敵ですね」と、うっとり見入っていた。 繊細な自然が相手なので、花が毎日鑑賞できるとは限らない。詳しくは咲くやこの花館の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)