遺族「どれも大切で捨てられない!」…遺品整理のときの「片づける基準」をプロが徹底解説
両親が亡くなったとき、実家をどうするか考えているだろうか。実家に戻って暮らすのか、それとも実家を処分するのか。いずれにしても遺品整理が必要だが、そこには想像以上の困難が待ち受けている。いわゆる「親家片(おやかた)」本には、「こうして片づけた」「こうすれば片づけられる」などと成功例が書かれているが、現実はそんな生やさしいものではない。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『遺品は語る』(赤澤健一著)から抜粋して、注意するべきポイントをお届けする。 『遺品は語る』連載第24回 『【プロが太鼓判】いざというとき知らないと後悔する「遺品整理のコツ」2選…「本質はたったコレだけ」』より続く
遺品整理のための「大前提」
仮に、父親(夫)を亡くした母親(妻)が一人で実家に暮らすことになったとしよう。 母親自身が、 1.大切なものはなにか? 2.これからの生活の中で大事にしたいことはなにか? 3.将来どのようになっていたいのか? 4.さまざまな価値観の中で優先したいものは? 5.理想の自分の生活」はどんなものか? 6.家の中のさまざまなものの適正量は?使用頻度は? 7.家の中での行動動線は? 8.家の中のどの部屋にいることが多いか? などといったことがらについて、もう一度自分で見つめ直してから遺品整理に着手する。そこでクリアになったことが、遺品整理の計画に関する前提条件になるわけだ。
親の「一人暮らし」は遺品整理のチャンス
母親の一人暮らしではなく、実家に誰かが同居したり、面倒を見るために時々帰るのであれば、その誰かについても「どう住むか」を改めて見つめ直す必要がある。 また、実家を売却する、賃貸物件にして貸し出す、残された親が有料老人ホームなどに入居して実家はそのまま置いておくなど、「実家にはもう住まない」となった場合も、今後暮らす場所に関して上記と同じような検討をしたうえで、実家の遺品を整理するほうがよいことはいうまでもない。 特に多いのは、両親のどちらかが亡くなって、残された親が一人暮らしをする場合に、夫婦2人で暮らしていたときのままにする間違いだ。故人が使っていた食器もそのまま、故人の洋服もそのまま残されていて、収納ケースが大きなスペースを取っている現場によく遭遇する。 見ると、家の中に使われることのないものが散在している。しかし、一人暮らしは、2人で暮らしていたときとはまた別の生活が始まることになる。そんなに多くのものは必要ない。 残しておくものについてよくあるのが、使用頻度や動線を考慮せずに、以前の生活で置かれたままになっている間違いだ。もちろん、必要なものなら残せばいいのだが、その際は、たとえば居間に置くのか押し入れにしまっておくのか、定位置を具体的に考え、改めて置き場所を決める必要がある。