岡田将生さん「演技をしていて、初めて感情がコントロールできなくなった」
ドラマ『1122 いいふうふ』は「夫婦の再生」だと思いながら演じていました
累計販売部数 146 万部を超える大ヒット漫画『1122 いいふうふ』が、待望の映像化、2024年6月14日(金)よりPrime Videoにて配信されています。 【撮り下ろし写真をすべて見る】「なんか最近、クセが多い役しかやってない(笑)」今作で演じる二也は、久々の「普通の人」 結婚7年にしてセックスレス。子どもはおらず、毎月第3木曜日は、夫が妻公認の恋人と過ごす……という、特殊な関係の夫婦が、ふたりの人生をどう歩んでいくかを模索していく物語。またその傍らでは、発達障害をもつ子ども、仲の悪い実親など、現実味のあるテーマも関わっており、Oggi世代にとっては、見逃せない作品ではないでしょうか。 今回、夫の二也(おとや)役を演じる岡田将生さんに、作品について、そして自身の夫婦観や家族観について、お話しいただきました。 ※前後編の〈前編〉です。後編は本文下の「関連記事」からご覧いただけます ------------- ──近年の岡田さんは、映画『ゴールド・ボーイ』のサイコパスキラーなど、クセの強いキャラクターが多い印象でしたが、今回の二也は「文具メーカー勤務のサラリーマン」という、かなり普通の役どころですね。 この役、普通ですか? ──はい、外に恋人がいたりはしますが、それも含めて(笑)。 本当ですか?よかった。いや、なんか最近、クセが多い役しかやってないって思われるのが、すごくイヤで。そんなはずはないんですけど、みんなが思っている普通と、僕が思っている普通がズレてるのかな?なんて考えてしまって。そっかそっか、よかった。ありがとうございます。 ──ただ、結婚7年目のセックスレスの夫婦で、夫には妻公認の恋人がいるという、刺激的な設定でストーリーは始まりますが、岡田さんはこの作品を、どのようにとらえましたか? 今の時代ならではっていうのもちょっと変だけど、夫婦にはいろんなあり方があって、僕は、この夫婦が「再生していく物語」だと思いました。僕は漫画がすごく好きで、原作も本当に面白く読ませてもらいましたし、周りにもおすすめしたんですけど、「読み応えがすごかった」っていう感想が多かったので、より頑張らなきゃいけないなと思いましたね。 ◆弱いところも含めて、二也の人間らしさを感じてほしい ──実際に二也という役を演じて、どんなことを思いましたか? 二也がしていることに関しては、もちろん許されないこともあって、誰かを傷つける行為をしてはいるのですが。でも僕は全体を通して、彼は一子(いちこ※妻の名前)ちゃんをいちばん大切にしている、愛しているととらえていました。そこが人間っぽいっていうか。 誰だって過ちがあるし、誰だって毎日毎日、正しく生きているはずがないから、だからこそ二也の人間的な弱さも含めて、すごく魅力的に感じていて。観てくださる方々に、共感してほしい部分はもちろんあるけど、どちらかというと作品を通して「そうそう、こういう男はいるんだ。だってそれが人間じゃん」と感じてほしいと思って、演じましたね。 いけないことをしているので、肯定しすぎるのも難しいですけど(笑)、割と好きなキャラクターです。でも、二也がすごく一子ちゃんを大切にしていることは、全編通して観ていただけたら、伝わるんじゃないかと思っています。 ──夫婦の長い会話劇も、見どころのひとつですね。 今回の作品は、演じていて本当に楽しかったんです。夫婦の織りなす会話が、すごくリアルなんですけど、お互いの呼吸の合わせ方が、僕のブレスのタイミングとすごく似ていて、言いづらいセリフが、ほぼひとつもなかったのは、すごく珍しい経験でした。 長回しの撮影があるのはわかっていたので、より準備はしていましたし、あとはそのとき感じたことを、より嘘がないようにお芝居をすることが、毎日毎日楽しいなと、充実した日々を過ごしていました。今でも後悔するシーンは、基本的にないというか。 ──「後悔しない作品」って、珍しいんですか? 僕にとっては、珍しいかもしれません。基本的にどの作品の撮影も、毎日後悔しながら家に帰っているので(笑)。二也という役が好きだったこともありましたし、あと一子役の高畑充希さんとのセッションが、すごく楽しかったんです。 高畑さんとは、今までご一緒したことがなかったのですが、クランクイン前に監督と3人でごはんを食べたりしながら、作品に対する考えを話し合って、距離を縮めた状態で撮影に入れたんです。クランクインって、緊張してしまうことが多い中、割とリラックスした状態でスタートを切れましたし、そこから撮影が終わる2か月くらいまで、毎日話し合いながら撮影ができたことは、すごくいい結果をもたらしているんじゃないかなと思います。 ◆演じていて、初めて感情のコントロールが効かなかった ──ちなみに、演じていて辛かったシーンはありましたか? 最終話でもう撮影に入る前から、面白いぐらいに辛いシーンがありました(笑)。メイクしながら「あのシーン撮るんだ、やだな」って思っていましたね。ちょっと耐えられなかった。監督も引いてたんじゃないかな。え?って。 ──すっかり二也に入り込んでいたんですね。 僕も、そこまでなるとは思ってなかったんですけど、なんだろう……演技をしていて、感情的になることが決して悪いとは思ってはいないんですが、絶対にコントロールしなくてはいけないのに、コントロールしたくてもできないときもあるんだなという、勉強にもなりましたね。……あと「剣山のシーン」もイヤでした! ──原作でも有名なシーンですね(笑) いろんな実験を重ねながら、どういう形が、よりよく映るかということは、スタッフの皆さんがすごく考えてくださって。『1122 いいふうふ』が映像化されることがニュースになったときに、「剣山はどうなってるんだ」っていう声がネットに多く上がっていたのですが、皆さんの期待を裏切らない、剣山のシーンができているんじゃないかなと思います(笑) 作品づくりにあたり「原作への愛やリスペクトを感じた」とも語る岡田さん。後編では、岡田さんが思う夫婦像や、家族観について語っていただきます! 〈後編〉は記事下の「関連記事」からぜひご覧ください!