ソフトバンクGの孫氏、エヌビディア買収交渉〝秘話〟明かす 「逃がした魚は大きかった」
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は21日の定時株主総会で株主の質問に答え、2016年に米エヌビディアの買収を目指して同社のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)と直接交渉したが、不調に終わったという〝秘話〟を明かした。 孫氏によると、米カリフォルニア州の孫氏の自宅でフアンCEOと約4時間食事をしながら交渉し、エヌビディアを買収してSBG子会社の半導体設計大手、アームと合併させることを提案したという。人工知能(AI)半導体で業績拡大が続くエヌビディアは今月、米マイクロソフトを抜いて時価総額世界一の企業に成長しており、孫氏は「逃した魚は大きかった」と言って会場を沸かせた。 エヌビディアとSBGは20年、エヌビディアがアームの株式を取得する契約を締結したが、22年に「規制上の大きな課題があったため」解消。これを受けてSBGは23年、アームを米ナスダック市場に上場させた。孫氏は「神様が時間を戻し、エヌビディアとアームのどちらかを買収できるようにしてくれても、1秒も迷わずアームを選ぶ」と、アームの将来性の高さを強調した。 また、総会で孫氏は、今後のビジョンを説明し、「人類の叡智の1万倍に相当するASI(人工超知能)をおよそ10年以内に実現する。ASIで人類を進化させることがソフトバンクと私の使命だ」と話した。 ASIが動かすロボットが、買い物や掃除、洗濯などを人の代わりに行うようになると指摘。ASIによる自動運転で交通事故を「1万分の1」に減らしたり、地震などの災害やパンデミックにも最適な対応をしたりできるとした。株主から、「ASIは戦争をなくすことができるか」と聞かれた孫氏は、「できると思う。人工知能が人類を滅亡させると心配する人がいるが、むしろ人間の方が怖い。ASIははるかに賢く、人類の調和のために働いてくれる」と強調した。(高橋寛次)