始まりはトラックの移動販売…まさにジャパニーズドリーム!海外進出23年目のDAISOが描く野望
「ミラクル!」それぞれのお国事情で変わる「売れ筋商品」
商品のなかには、日本人からすると「なぜこれがそんなに?」と不思議に思う爆売れアイテムもあるようだが、売れるにはそれなりの理由がある。各国ごとに売れ筋を見ていくと……。 【アメリカ】 ◇ほいっぷるん 洗顔料と水を入れてシャカシャカするだけで、もっちり泡ができる洗顔用泡立て器。 「ミラクルだと驚かれ、大好評でした」 ◇食器洗いスポンジ 顔のデザインや、動物の形のスポンジが好評。消耗品に遊び心があるというのが珍しいらしく、同じ理由で香りがついた練り消しも人気だ。 「私たちが当たり前のように取り入れている遊び心も、楽しんでもらえている理由のひとつかと。海外の方から見ると日本らしいと感じるのかもしれません」 【ブラジル】 ◇ハンドル野菜カッター ハンドルを引くとカッターが回転し、簡単にみじん切りができる。 「ブラジルでは細かいみじん切りを使う料理が多いので」 【オーストラリア】 ◇クリーナーシート 乾燥した気候で埃が立ちやすいので売れている。 「逆に湿度の高い国では、除湿剤がよく出ます」 【日本】 ◇メタルジグ(釣具の擬似餌) 最近ではなんといってもこれ! 「YouTuberが『100円でも釣れる』とあげた動画が話題となりました」 ◇メスティン(飯盒) コロナ禍で大ヒット。アウトドア派だけではなく、災害時にも使えると重宝されている。 「値段は1合用500円から。100円ではありませんが、『この価格でこの商品が!?』という価格以上の価値をご提供する姿勢は、創業時から変わっていません」 ◆’30年には、1万店舗の1兆円企業……世界規模の生活インフラを目指す! ダイソーが100円の枠を超えた商品を開発し始めたのは、実は20年以上も前のこと。客から「少し大きめのバケツが欲しい」「100円の園芸支柱だと長さが足りない」などのニーズがあり、それに応えたのがきっかけだった。昨今、300円ショップもすっかり定着し、「円安の影響で価格を上げざるを得ないのか?」と思っていたけれど、そういうことではないらしい。 「円安の影響も少なくはないのですが、もう50年以上も価格上限が決まったなかで商品設計をしてきたので、円安ひとつをとってどうこう、というのはないんです」 さすがは肝が座ってる。加えて当然ながら、世界中に広がった物流システムを円滑にするため、ワールドワイドな取り組みにも着手しているとのこと。 「今、マレーシアに大型の物流センターを建設中で、’27年からはそこがハブとなり、世界各国に商品の発送ができるように仕組みを整えています」 海外といえば冒頭の写真のように、ドジャー・スタジアムの球場広告や大谷翔平選手の取材時のパネルに、ダイソーのロゴがあるのに気づいた人も多いと思う。世界展開のなかでも、特にアメリカに力を入れているということなのだろうか。 「現在アメリカには134店舗(’24年6月末時点)がありますが、そのうちの80店舗近くはカリフォルニア州なんです。日本企業として、あそこで広告を出させていただくことで、カリフォルニアないしアメリカ国内での認知が上がってくれたら嬉しいですし、現地のスタッフさんたちにとっても、人気の球場にスポンサーとして名前を出させていただいていることを誇りに感じていただけたら嬉しいなと思っています」 それにしても……。スポンサー名にANAがあるのはわかる。そこに並んでダイソーなのだ。言っても100円、飛行機を飛ばすのとはわけが違う。一体どれだけの数を薄利多売すればドジャースとスポンサーシップ契約が結べるのかと、頭がクラクラしてきた。 「単価が違うということで言えば、それだけ多くのお客様からご支持いただかないと、その世界観は達成できないと自負しております」 創業当時はトラックでの移動販売だったと聞く。50年後にこんな未来が待っているなんて、すごいなジャパニーズドリーム。まさに「点滴石を穿つ」ではないか。最後に、そんなダイソーの今後の展望を。 「’30年にはアメリカ1000店舗、世界中に1万店舗で、売り上げとしては1兆円を目標にしたいと考えています。各国で多くのお客様に受け入れていただけるような商品開発を心がけ、社会の生活インフラを目指します!」 ※商品は店舗により取り扱いが異なり、売り切れの場合もあります。 取材・文:井出千昌
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