《ブラジル》JICA協力隊員リレーエッセイ=異なる文化や価値観が共存する世界へ=ブラジル各地から日系社会を伝える(15)
当学園では約10年間KAKARI活動が継続して行われています。学園は「園内の物や場所を大切に使うという責任感」や「次に使う人のことを思いやる心」を児童生徒に身につけさせたい思いがあり、日頃から彼らが授業後に教室内の掃除や整頓をしたり、軽食や給食の後片付けをしたりする姿が見られます。2月に行われたカーニバルのイベントでは多くの紙吹雪が使われましたが、イベント後に児童生徒が友達と協力しながら積極的に掃除する姿に、心を打たれました。 日本では子どもが学校内外で掃除や片付けをすることは一般的ですが、ブラジルでは異なり、校内の掃除は清掃員が、家ではファシネイラと呼ばれるハウスキーパーが家事全般をする家庭が多いです。このブラジル文化は、プロジェクトを進めていく上で大きなポイントであると私は感じています。なぜなら、KAKARI活動を良く思わない大人の方や、積極的でない児童生徒が実際にいるからです。 先日学園の先生方に、日本の学校は清掃活動以外に係活動や当番活動、委員会活動があることを紹介し、これらの活動は学校生活をより豊かにし児童生徒の自主性や責任感、協調性を育む目的もあることを伝えました。現在は、日本の教育活動をそのまま導入するのではなく、学園の実態やブラジル文化に合った形で取り入れ、更に良い学園となるよう先生方とプロジェクトを進めているところです。 私たちは、児童生徒が異文化理解を通して学び身につけることは人として大切なことであり、より良い学園、国、更には世界をつくるために必要なことであると考えています。子どもたちが、異なる文化や価値観を持つ人々が共存する世界で活躍できる人となれるよう、今後も日本の教育活動や文化を伝えていき、学園に取り入れられ継続されるよう、エコス学園の皆さんと共に活動していきます。 サンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポス市 布目杏奈