大阪のガンダム世代ロボット研究者 世界最大級2足歩行ロボット公開
ロボット研究者と地元の中小企業経営者有志が開発
大阪のガンダム世代ロボット研究者 世界最大級2足歩行ロボット公開 THEPAGE大阪 撮影:岡村雅之 ナレーター・編集:柳曽文隆
高さ4メートルの世界最大級の2足歩行ロボットがこのほど、大阪市西淀川区の区役所で開かれた「西淀川ものづくりまつり」で初公開され、詰めかけた親子連れらから喝さいを浴びた。ロボットはロボット研究者と地元の中小企業経営者有志の共同開発で完成。人間が乗り込んで操縦するガンダムタイプで、最終目標はガンダム実物大の高さ18メートルだ。 【別の動画と拡大写真】西淀川ものづくりレンジャーの発表会も行われ、ちびっ子たちが奮闘
高さ4メートル重さ300キロで2足歩行は分速12メートル
このロボットは「はじめ43号」で、高さ4メートル、重さは300キロ。2足歩行をするロボットとしては世界最大級だ。この日は会場の天井が低いため、いすに座ったままで、歩行シーンは実現しなかったが、腕や指を動かすデモンストレーションを披露した。 開発したのはロボット研究者坂本元(はじめ)さんと、地元の異業種交流会NKKに集まる中小企業経営者の有志たち。2006年、ロボット開発を目指す坂本さんを有志たちが西淀川区内に招き入れ、地元の多様なものづくり力を駆使してサポートするかたちで、共同開発がスタート。 以来、ロボットの高さを50センチ、1メートル、2メートルと倍々方式で大きくし、ついに4メートルまでこぎつけた。 「はじめ」は坂本さんの名前に由来する。最新鋭43号は世界最大級であることに加え、分速12メートルで歩く能力を持つ。しかし、プロジェクトは完了したわけではない。いまだ途上にある。
人間が搭乗して操縦するガンダムタイプ
43号は人間が搭乗して操縦する。アニメなどでおなじみのガンダムタイプだ。坂本さんも43号のハッチを開けて、コックピットに乗り込む。ガンダムこそ、坂本さんのロボット開発の原点ともいえる。 「中学生でガンダムに魅了され、高校生でガンダムのプラモデルを作って以来、いつかはガンダムのようなロボットに乗り込んで操縦してみたいと思い続けてきました。ようやくガンダムに一歩近づけました」(坂本さん) 43号開発の課題は軽量化だった。アルミ素材を立体的に加工することで、薄くて軽いアルミ材でも強固なボディを作ることに成功した。ガンダムの実物サイズは18メートル。プロジェクトチームはようやく4分の1スケールに到達したことになるが、次の8メートルのロボットとなると、さらに大きな技術革新が求められる。 予算面も潤沢とはいえない。これまでは開発したロボットを売り渡すことで、次の大きなロボット作りに挑む開発製造資金を調達してきた。8メートル規模になると、開発費も跳ね上がりそうだ。しかし、プロジェクトマネジャーの三木繁親さんは「これまで補助金なしでしのいできたので、これからも自前でいきたい」と、自主独立の継続に意欲を示す。43号は販売価格5000万円で買い手の登場を待つ。 コックピットに乗り込んだ坂本さんに感想を聞くと、「狭いのですが、周囲にモニターなどがびっしり並んでおり、ガンダムのコックピットらしい仕上がりになっています」と、満足げに話す。これからは、ものづくりまつりに集まる子どもたちとも夢を共有する共同プロジェクトになりそうだ。