目の前で屋根が抜け落ち「正直助からないと思った」…2階にいた男性、10分かけて傾く家から脱出【鹿児島県震度5強】
宮崎県南部で起きた最大震度6弱の地震。大崎町で最大震度5強に見舞われた鹿児島県内では家屋倒壊などの被害が相次ぎ、10~20センチの津波も観測した。「助からないと思った」「余震が怖い」。住民らは不気味な揺れに緊張し、南海トラフ巨大地震で大きな被害が想定される志布志市などでは高台に避難する姿もみられた。 【写真】〈別カット〉地震の影響で卵や調味料が散乱した飲食店の調理場=8日午後7時20分ごろ、大崎町仮宿
大崎町の役場近くでは、原田勝男さん(82)方の木造2階建て住家が倒壊した。原田さんは妻と逃げ出して無事だった。「いきなり激しく縦に揺れた。目の前で屋根が抜け落ちた」。2階にいた原田さんは傾く家から10分ほどかけて何とか脱出した。「正直助からないと思った」 建物が跳ねるように揺れていたと驚くのは、近くで飲食店を営む小牟田浩さん(60)。外出しようと車に乗った直後だった。店内は調味料や食材などが散乱した。「お盆用の仕出し弁当の予約を千個以上受けていたが、見通しが立たない。謝って断るしかない」と声を落とした。 一方、震源の日向灘側に開けた西之表市の浦田海水浴場。津波注意報が防災無線で流れると、海遊びを楽しんでいた家族連れら30人以上が一斉に管理棟へ避難した。中高生キャンプの引率で福岡県から訪れていた大藪啓孝さん(52)は「海の中で地震や津波の情報を聞くとは。津波の恐ろしさは報道で知っているだけに少し焦った」と振り返る。
震度5弱だった霧島市では、国分中央3丁目の歩道に長さ約10メートル、幅約8センチの亀裂が入った。近くの居酒屋で働いていたアルバイト松田夏音さん(17)は「横揺れが長かった。フライヤーの油がこぼれそうになり、慌てて火を消した。余震が怖い」と不安を募らせた。
南日本新聞 | 鹿児島
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