『Eye Love You』ついにクールな中川大志のポーカーフェイスが剥がれる 新たな恋の予感も
「僕たちの関係は、会社では秘密です」 朝から愛情溢れるメッセージを連投したかと思えば、会社に到着するやいなや他人行儀な態度に。極めつけは、片手を前に突き出し「待て」のポーズ。それは、ついこの前まで侑里(二階堂ふみ)がテオ(チェ・ジョンヒョプ)がしていた態度が、そのまま返ってきたようなもの。だが、自分がする側と、される側では、どうも勝手が異なる。はっきりと言葉にしないテオの気持ちがわからず、侑里は混乱するばかりなのだった。 【写真】侑里(二階堂ふみ)に迫るテオ(チェ・ジョンヒョプ) 火曜ドラマ『Eye Love You』(TBS系)第3話は、これまでド直球に気持ちを言葉にしてきたテオが、侑里を困らせまいと会社では社長とインターン生の関係を貫こうと健闘する。「侑里さん」ではなく「社長」と呼ぶだけでなく、フレンドリーな会話も一切封印。特に、公私混同を嫌う花岡(中川大志)の前では、必要以上に距離を取ろうと努める。すると、次第に見えてきたのが、侑里の鈍感さだ。 相手の瞳を見れば、心が読めてしまう“テレパス”の能力者である侑里。しかし、その能力があるからこそ、“きっとこういうことだろう”と仕草や眼差しから察する力が育ちにくかったのではないだろうか。さらには、テレパスを理由に恋を諦めていた節もある。恋する相手がついしてしまう態度や、自分自身の気持ちにさえも、なかなか気づけない様子だった。 我々視聴者から見れば、テオの気持ちなんてずっと侑里に向かっているというのは一目瞭然。なのだけれど、侑里は、心の声が韓国語のテオの本音が「わからない」と頭を抱えてしまうのだ。そんな侑里に、テオは会社では口に出すことのできない侑里への気持ちを“花言葉”に込める。「拾ったので」なんてぶっきらぼうに手渡した小さなブーケ。その花の名前はリナリアだった。そして花言葉を調べてみてくださいとのメッセージを添えるのだった。リナリアの花言葉は「この恋に気付いて」という控えめなところがなんともニクい。 テオは、前にも飲み会の後にこっそりと「アイスクリーム買いに行きませんか?」と誘ったこともあった。この言葉は、韓国人男性にとって「2人きりになりたい」という意味だという“隠語”であるという解説も一緒に。私たちは、時としてストレートに言葉にする以上に、こうした秘密のサインにグッと心を掴まれることがある。それは、そのままの言葉を受け止めたときの引っかかりから、理解したときのときめきがより深く胸に刻まれるからだろう。 そして、かつてその言葉の意味を知るタイミングがあり、“いつか伝えたい相手が現れたときに使おう”と、ずっと温めていたのだろうか……なんて、相手の熟成された愛情深さのようなものに触れた感覚になるからかもしれない。また、言葉にしないことでずっと質量が感じられる愛情もある。例えば、花岡の侑里への想いもそう。ビジネスパートナーとして、長年クールな態度で侑里を支え続けてきた花岡。だが、テオの出現により、そのポーカーフェイスは徐々に剥がれつつあった。 花岡は、遅くまで会社に残りお腹をすかせた侑里のもとへ一緒にサンドイッチを食べようと帰社。どちらのサンドイッチを食べるか、侑里は「公平に」とじゃんけんで決めようと提案する。目を見てしまうと相手の出す手がわかってしまうからなのか、とっさに目をつぶってじゃんけんをする侑里。そんな侑里を見て、花岡はそっと後出しをしてわざと負けてあげるのだ。そして、勝って喜ぶ侑里を優しく見つめる。その一瞬の視線で、どれだけ侑里を愛しく思っているのかが伝わるようだった。しかし同時に切ない気持ちにもなった。 花岡はこれまでもずっと侑里に対して、こんな温かな眼差しを向けていたのではないだろうか。言葉にならなくても、たしかにそこに存在する愛情がある。それがどんなに大きいものだったとしても、当の本人が知ろうとしなければ、見過ごされてまるでないもののようになりかねない。だから、どんな形であっても“伝える”というのは大切なのだ。口に出すのが難しければ、花言葉にしたためるのもいい。本当はこういう意味があるのだと段階的に伝える隠語でもいい。バレンタインのチョコレート文化がこれほど根付いているのも、もしかしたらそれほど言葉にするのが苦手な人たちが多いということかもしれない。 第3話では、侑里が考案した花言葉チョコレートをきっかけに新たな恋の予感も。1人は、韓国語でテオとコミュニケーションが取れる仁科(鳴海唯)。「あなたを愛しています」の花言葉を持つ赤いバラのチョコレートを渡そうとしている相手は、一体誰なのか。ひょとしたら、テオなのでは?という視線も気になるところ。 そして、もう1人はバレンタインまでに次なる恋を掴もうとしているショコラティエの真尋(山下美月)だ。「新しい恋」の花言葉を持つハイビスカスのチョコレートを食べて、「こんなに美味しいチョコ初めて食べた」と言ってくれたテオの先輩・小野田(清水尋也)に心惹かれる。しかし、小野田はテオの恋する相手を真尋だと勘違いしているようにも見えた。このすれ違いが、それぞれの恋にどんなスパイスとなるのか、こちらも目が離せない。 もちろん、すべての想いが報われるわけではない。けれど、それでも心を読み合って、臆病になって行動しないより、思い切って素直になることで広がる世界がある。そこに愛がちゃんとあるのだと、相手にも、そして自分も見つけてあげることができる。全力で恋をしているテオを見ていると、そんな人生の喜びがあることを教えてもらえるような気がする。次週はいよいよバレンタイン直前。このドラマが、多くの人に愛を伝える勇気をくれるのではないだろうか。
佐藤結衣