バイデン氏が苦戦 トランプ氏と非難の応酬に 米大統領選へ初の討論会
【ワシントン古川幸太郎】11月の米大統領選に向けた民主党のバイデン大統領(81)と、共和党のトランプ前大統領(78)による初のテレビ討論会が27日、南部ジョージア州アトランタで開かれた。両候補は互いを「史上最悪の大統領だ」とののしり合うなど非難を応酬した。バイデン氏は声がかすれるなど精彩を欠き苦戦を強いられた。トランプ陣営は「歴史的勝利」と自賛した。 【画像】米大統領選関連の主な日程 2人の直接対決は2020年の前回大統領選以来、4年ぶり。民主、共和両党の候補が正式指名される前の討論会は極めて異例だ。討論は90分間で経済や人工妊娠中絶、不法移民などのテーマで舌戦を交わした。 バイデン氏は人工妊娠中絶の権利を巡って、トランプ氏が返り咲けば全米で中絶が禁止される恐れがあると指摘。不倫口止め料支払いに絡む事件で有罪評決を受けたトランプ氏を「重罪人」と糾弾した。さらに前回大統領選の敗北を認めず、白人至上主義の暴力事件を非難してこなかった姿勢を「民主主義という感覚が欠けている」と批判した。 これに対し、トランプ氏は有罪評決を「(バイデン政権が)政敵の追い落としを図ったものだ」と反論。バイデン政権下で物価が高騰し「インフレがわれわれを殺している」と批判した。多くの不法移民が流入して治安が悪化したとも強調。健康不安を抱えるバイデン氏に認知機能検査を受けるべきだと訴えた。 主催者のCNNテレビが実施した世論調査によると、67%が「トランプ氏勝利」と答え、バイデン氏の33%を大きく上回った。身内の民主党内からも「ひどかった」との声が上がるなど、今後の選挙戦に不安が広がった。 一方、トランプ氏も質問にまともに答えず、虚偽の主張を繰り返すなど無党派層の取り込みに課題を残した。2回目の討論会は9月に開催される。