【車いすラグビー日本代表/2024クアードネーションズ】日本が世界ランク1位アメリカに圧勝、初白星を挙げる。
イギリス・ウエールズで開催されている車いすラグビーの国際大会「2024 Wheelchair Rugby Quad Nations」(以下、クアードネーションズ)。 大会2日目の4月17日、世界ランキング3位の日本は、同1位のアメリカとの予選ラウンド最終戦に臨んだ。結果は、全員ラグビーでアメリカを封じ込め52-41。今大会の初白星を挙げた。 12名のメンバー全員がベンチ入りした日本は、引き締まった表情で試合を迎えた。 橋本勝也-池 透暢-乗松聖矢-倉橋香衣をスターティングラインアップに起用した日本は、攻撃の起点となるインバウンド(スローイン)からアメリカに強いプレッシャーをかけていく。 昨年10月のフランス遠征時よりもさらに精度を高めた連係で相手のボールを停滞させ、苦しい選択をさせる。オフェンスでは、池のアシストから橋本が冷静な判断でトライを重ねた。 「パリ・パラリンピックで金メダルを獲る。かつ金メダルを獲るためのキープレーヤーになる!」と公言する橋本は、その決意と覚悟を表すかのように、ターンオーバーを奪って自らトライ。試合開始から3分半で7得点をマークした。 チーム最年少の橋本から最年長の池崎大輔へとバトンが渡る。ディフェンスの強度を高める日本は、アメリカにバイオレーションを与えた。
車いすラグビーにはバスケットボールのように時間に関連するルールがある。フロントコートまで12秒以内、トライラインまで40秒以内にボールを運ばなければいけない。 それを回避する手段として、コート内で選手は1試合の中で4回までタイムアウトを要求することができる。 アメリカは12秒でフロントコートまで持っていけないと判断すると、第1ピリオドで3つのタイムを使った。そしてピリオド終盤には時間内にトライラインを超えることができず、40秒バイオレーションが与えられた。 相手の行く手を阻む日本がゲームを優位に運び、14-11で第1ピリオドを終えた。 スペースラグビーを得意とする日本とアメリカだが、第2ピリオドでは、お互いのスペースを潰し合うような攻防が繰り広げられる。ボーラーを3人が囲ったり、パスコースを塞いだりと、小さな密集が絶え間なくできては散り、短い距離で進んでいく。 日本が選手交代をすると、すかさずアメリカもラインアップを入れ替える。 そこで日本ベンチを沸かせたのが、草場龍治のランだ。自身よりも障がいの軽いアメリカ選手と対等に走り合い、壮絶なバトルとなる。最後に振り切られてしまうと、「あー」と悔しさ混じりのため息がベンチからもれた。 障がいの重い1.0クラスで世界トップレベルのスピードを誇る草場は、若手急成長株のひとり。「自分のプレーがどれだけ世界に通用するのかということを、パリ(パラリンピック)前に確認しておきたい」と、強い思いを持って今大会に臨んでいる。 一人ひとりの思いを結集した日本は、チームプレーで得点を重ね、25-21で試合を折り返した。 スタートと同じラインアップで開始した第3ピリオド。 相手を抑え、ボールを持つハイポインター(障がいの比較的軽い選手)に道を作る、乗松と倉橋のハードワーカーな仕事ぶりが目を引く。倉橋は2対2における味方との連係で、位置取りや動き方、車いすの向きなど細かい部分にまでこだわって取り組んできたといい、「積み重ねてきたことがどんどん深まっている感じがあったので、それを試合中にも感じながらプレーしたい」と話していた。 その小さな積み重ねが1点を生み、試合は39-33で最終ピリオドを迎えた。