「あんな姿を見るのは悲しい」58歳タイソン、19年ぶり復帰戦も欧米メディアは非難轟々…「ジェイクがKOしなかったことを称賛」という見解も
元統一世界ヘビー級王者のマイク・タイソンが現地11月15日(日本時間16日)、YouTuber兼プロボクサーのジェイク・ポールと2005年以来19年ぶりとなる公式認定のプロ復帰戦を行なったが、判定の末に敗れた。会場の米テキサス州アーリントンのNFLダラス・カウボーイズの本拠地AT&Tスタジアムは超満員。試合は『Netflix』でライブ配信された。 【動画】「これはクレイジー!」前日計量でタイソンがポールに強烈な一発!! 1ラウンド2分、8回戦で行なわれた試合は、初回タイソンが好調なスタートを切り、強烈なジャブで主導権を握る。2回もタイソンが立ち上がりから積極性をみせるが、徐々に動きが鈍り始める。3回以降は、序盤の鋭さが影を潜め、ポールの勢いが上回る。タイソンはしっかりと防御するが、反撃には至らない。終盤に入ると、ともに決定打が生まれる気配もなく時間だけがすぎていく。そして8回、残り10秒となった段階でポールはタイソンにお辞儀をして敬意を示し、平穏に試合に幕を引いた。判定の結果は3-0でポールの完勝に終わった。 タイソン58歳、ポール27歳、「31歳差」という年齢差が話題を呼んだ対決。内容に関しては、試合直後から批判の声が多く上がった。米メディア『New York Post』は「ポールは80-72、79-73、79-73の全会一致で判定勝利を収めたが、もっとも盛り上がったのは彼らの退場時だ。それはほとんどの人が予想した通り、退屈な仕掛けであることが判明した。これはプロスポーツイベントを装った金儲けの茶番劇だった」と辛辣に酷評した。 また、英メディア『dailymail online』では、ハリー・バンフォース氏は、「はっきり言ってあれを見るのはつらかった。マイク・タイソンがノックアウトを狙って登場した最初の数秒を除けば、彼は実年齢通りの姿だった」と指摘。一方、ポールの戦いぶりには、「彼はタイソンを意のままに打ち抜くことができた。しかし、若者は無茶をせず、ポイントを獲得するのに十分なだけのプレーをすることにした。あのような戦いはもう見たくない」と見解を示し、今回のマッチメイクに対して異を唱えた。 同メディアはまた、元クルーザー級世界王者のトニー・ベリューが自身のSNSに投稿した「ジェイクがタイソンをノックアウトしようとしなかったのは称賛できる」との見解を紹介。同メディアもこれに同意し、「つまり試合は爽快ではなかったが、タイソンが殴られるのを見なかったのは良かった」とし、「実際のところ、それは単なる派手なエキシビションだった」と断じた。 このほか、米放送局『CBS SPORTS』も「ずさんな試合」「タイソンは2ラウンドで疲れ切っていたが、ポールも決定打を繰り出せなかった」と批判。米スポーツ専門局『ESPN』は有名アスリートの反応を紹介し、「マイク・タイソンのあんな姿を観るのは悲しい。今夜の試合はボクシングとしては素晴らしいものではなかった」(マジック・ジョンソン/元NBAスター選手)、「このために起きていた自分に腹が立つよ」(J.J・ワット/元NFLスター選手)とやはり批判的な意見が目立った。 構成●THE DIGEST編集部