[山口県]放置空き家8万600戸 過去最多 県、利活用を後押し
総務省が公表した2023年の住宅・土地統計調査(10月1日時点、速報値)で、賃貸や売却目的で使われていない、いわゆる「放置空き家」が県内で8万600戸に上り、現在の方式で統計を取り始めて以来、過去最多となったことが分かった。所有者による管理が行き届いていない場合、周囲の景観や治安の悪化につながるため、県などは空き家対策を進める市町に専門家を派遣したり、売却した際にトラブルが起きないよう建物の不具合を調べる費用の補助を進めたりし、利活用を後押しする。 統計調査の中で示されている空き家は、借り手が決まっていない賃貸用物件と売却用物件、別荘などの二次的住宅があり、いずれにも該当せず使用目的のない物件が「放置空き家」として分類されている。総務省は5年ごとに総住宅数と空き家数を調べており、県統計分析課によると、県全体の総住宅数は72万6千戸と18年の前回調査時と比べて0・8%増えた。 このうち県内の空き家総数は14万800戸で、18年と比べ1万4千戸増。区分別にみると、賃貸用物件が5万3600戸(18年比6・6%増)、売却用物件が3700戸(同32・1%増)、二次的住宅が2900戸(同26・1%増)で、残りの放置空き家は前回調査時と比べて9200戸増えた。総住宅数に占める放置空き家の割合は11・1%で全国7位、中国地方では島根県(11・4%)に次いで高かった。 県住宅課の担当者は取材に対し、「空き家対策は市町が主体で行うものだ」とし、調査方法や対象範囲、時期などが異なることから「各自治体が行っている実態調査の数字全ては把握していない」と説明。その上で、「市町の取り組みをサポートできるよう普及啓発に取り組んでいく」としている。