さくらイン社長、毎年1万基規模のGPU投資が必要に-AIブームで
(ブルームバーグ): データセンターを運営するさくらインターネットの田中邦裕社長は旺盛な生成人工知能(AI)需要に対応するためには、米エヌビディアの画像処理半導体(GPU)が毎年1万基規模で必要になるとの見方を示した。
同社はデータセンターの拡充を進めており、高性能サーバーに使うGPUを2027年度末までに計1万800基程度導入する計画だが、より高い目標を掲げる。田中氏は11日のインタビューで、今後も需要に応えるには「毎年1万基程度の投資ができる」ような企業体力をつけることが欠かせないと話した。
エヌビディアのGPUは1基数百万円と高額ながら、生成AI需要の高まりから世界中で獲得競争が激しくなっている。23年には岸田文雄首相(当時)が同社の創業者と面会し、GPUの安定供給を求めていた。エヌビディア製品の輸出規制を強める動きもある。15日には、米政府がエヌビディアの先端半導体などについて国ごとの販売規制を検討していると報じられた。
さくらインはハイペースでGPUを導入しているが、田中氏は全ての需要に応えるには「全々足りない状況が続いている」と話す。現時点で5万-10万基分に相当する引き合いがあるといい、今のペースだと2、3年後には導入予定の1万800基分の利用枠が埋まるとみている。エヌビディアの日本法人とは8年ぐらい前から関係を築いており、大量発注にも応じてもらっているという。
1996年創業のさくらインは、23年には米グーグルやマイクロソフトなどに続き、国内企業で初めて政府共通のクラウド基盤である「ガバメントクラウド」の事業者に選ばれた。さくらイン株は29日、一時前日比16%高の5060円とストップ高を付けた。4-9月営業利益は前年同期比5.2倍の約13億円だった。
電力不足
データセンターは国内でも、NTTデータグループやソフトバンクなどのほか、大和ハウス工業や京セラなど異業種も参入しており、今後の拡大が予想される。24年版の情報通信白書によると、日本のデータセンターの市場規模は22年の2兆938億円から27年には4兆1862億円に達すると見込まれている。一方で市場の拡大により消費電力も急増し、電力不足も懸念される。