シリア難民の赤ちゃん、日本人の善意が命を救った / フォトジャーナリスト・久保田弘信
シリアからヨルダンに逃れた難民の生活が気になり、ヨルダンを取材に訪れていた2013年5月のこと。現地でNGO代表を務める一人のシリア人を通じ、障害を持って生まれた赤ちゃんのことを知った。結果、善意を寄せてくれた多くの日本人のおかげで彼女の手術は成功して命が救われた。しかし、まだ支援を必要としている人達が沢山いることを知ってほしい。(ジャーナリスト・久保田弘信) ヨルダン北部の街マフラック。この街には世界で二番目に大きなザータリ難民キャンプがある。昨年、ザータリ難民キャンプの人口は20万人を越え、環境が悪化し、多くのシリア難民がマフラックの街中に住むようになった。 難民キャンプ以外の場所で暮らす人達は支援を受けるのがとても難しい。国際NGOやヨルダンのNGOが困っているシリア難民の生活をサポートしている。 そんななか、シリアの内戦が始まる前からヨルダンに来て、戦争から逃れて来た同国国民の生活をサポートするNGOがあった。代表はシリア人のイブラヒムさん。イブラヒムさんとはマフラック市内で活動する日本人を通じて知り合った。 イブラヒムさんが「とても大変な生活をしている家族がいるから、ちょっと見てくれ」とマフラック郊外の倉庫のような家に案内してくれた。そこにはアレッポのサラハディーンから2013年2月に避難してきた家族が住んでいた。 母親:アマル・アブドルラハマン・シャアイビン(24歳) 長女:ファテマ・フセイン・アリ(9歳) 長男:ハーリッド・フセイン・アリ(5歳) 次女:リマース・フセイン・アリ(4歳) 次男:ムハンマド・フセイン・アリ(2歳) そして生後3ヶ月の末娘ラガット・フセイン・アリちゃんだ。 夫のフセイン・サーリヒ・アリさんはシリアのアレッポに残っていて、連絡が取れていない。アマルさんは5人の子供を抱え、女手一つで5人の子供達の面倒を見ている。