「奨学金」を借りていた息子が病気で亡くなりました。「親」である私は奨学金を返還しなければいけないでしょうか。
奨学金を借りた場合、卒業すれば返還が始まります。しかし、何らかの事情で返還を続けていくのが難しくなることもあります。もしも、借りた本人が亡くなったとき、残っていた奨学金の返還はどういった処理がされるのでしょうか。 今回は、奨学金を借りた本人が亡くなった場合、親や保証人の責任がどのようになるのか解説します。
返還が遅れたときは親などが代わりに返すのが原則
奨学金は人的保証制度をとっています。そのため日本学生支援機構によれば連帯保証人は「原則として父母もしくはこれに代わる人」とされており、借りた本人が返せないときは連帯保証人または保証人が代わりに返す義務を負います。 なお、保証人も基本的には4親等以内の親族ですが、連帯保証人や利用者本人と生計をともにしている人はなれません。条件によっては保証人が返還する額は減額されますが、連帯保証人の場合は利用者本人が返還する額と同じです。そのため、通常であれば、本人が返せないときは連帯保証人である親が代わりに返還を行います。
事情によっては返還が免除になるケースもある
奨学金は借金であり、借りた以上は返さなければなりません。ただし、事情によっては返還が免除される制度も設けられています。免除の対象になるのは「本人が死亡したとき」と「精神または身体の障害により労働能力を喪失、もしくは労働能力に高度の制限を有したとき」の2つのケースです。 今回のケースは本人の病死ですから、返還免除の対象になります。では、実際にどのような手続きが必要になるのか次で説明します。
本人の死亡によって返還を免除してもらう際の手続き
本人死亡が原因で返還免除を受ける際に必要な書類は「貸与奨学金返還免除願または給付奨学金返還免除願」と「証明書」の2種類です。 証明書は、本人が死亡した事実を確認するために使われるもので「戸籍謄本・全部事項証明」「戸籍抄本・個人事項証明」「住民票」などの公的証明書になります。なお、コピーは受け付けてもらえません。必ず役所で発行してもらった原本を提出しましょう。 また「住民票」を提出するときは個人番号部分を非表示したものに限定されています。「貸与奨学金返還免除願」「給付奨学金返還免除願」の用紙は、日本学生支援機構の公式サイト「死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除」のページからダウンロードできます。 注意しておきたいのは、書類に不備があった場合、承認されないケースがあることです。返還免除が承認されるまでは、口座振替請求・払込通知書も停止されません。免除されるのは、審査終了時点の返還未済額のみです。 もしも死亡前に未納があったときは、返還できなかった事情を確認できる書類が必要になります。審査結果が出るのは、受理してから1~2ヶ月後です。そのため、できるだけ早めに申請を行うことが求められます。