比・マルコス大統領、フィッチ、世界経済フォーラムが分析…「フィリピン経済」の現状と今後の見通し
一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、フィリピンのマルコス大統領、世界的な格付機関であるフィッチ、世界情勢の改善に取り組むことを目的とした国際機関である世界経済フォーラムの三者が、フィリピン経済の現状と今後、どのように見ているのか、解説していきます。 【動画】日本のシン富裕層✖︎永住権・移住
マルコス大統領、2024年フィリピン経済成長に自信
フィリピンのマルコス大統領はブルームバーグとのインタビューで、「インフレが依然として我々の最大の課題だ」と述べ、現時点で17年ぶりの高水準にある融資コストの引き下げについて「その時期ではない」と語りました。 フィリピンの消費者物価上昇率は、中央銀行が目標とする2~4%を7四半期連続で上回っています。しかし、政策金利が高水準にあるにもかかわらず、2023年の経済成長率は東南アジア最大の5.6%となり、マルコス大統領は2024年はさらに良い結果になるとの自信を示しています。 大統領は、2024年の国内総生産(GDP)成長率は政府目標の最大値7.5%を達成するだろうと述べ、2028年までの任期後半には8%に達する可能性もあるとしています。8%の成長率は、1976年に大統領の父親である故マルコス独裁政権下で達成されて以来のことです。 またペソが3ヵ月後ぶりの高値を更新しているのは経済の強さを反映していると述べており、さらなる通貨高を歓迎しています。 大統領は、就任以来、約20回の外国訪問を行い、米国とその西側同盟国との防衛関係を強化し、投資や貿易協定の締結を目指してきました。バイデン米大統領が派遣したビジネス使節団からは、半導体などのテクノロジーやサプライチェーン分野での10億ドル以上の投資約束を取り付けるなど、成果を挙げています。さらにアジアの近隣諸国との物理的およびデジタル的つながりを強化することも目指しているとし、欧州連合との関わりもを深めているとしています。 大統領は、任期終了までに飢餓を撲滅し、失業率をさらに低下させることを目指すとし、パンデミックの混乱から抜け出すためには、経済成長しかなく、債務比率、失業率、インフレ率のいずれをとっても、成長こそが鍵だとしています。