宮城・女川町で「サンマ収穫祭」5000匹を無料でふるまう
町民やボランティアの手で5000匹のサンマが焼かれ、来場者に無料でふるまわれた
全国でも有数のサンマの水揚げ量を誇る宮城県女川町で20日、サンマの漁獲を祝う「おながわ秋刀魚収穫祭」が開かれた。東日本大震災で被災した町の魚市場の復旧が進み、震災後初めて本来の会場である魚市場で開催された。
会場では、炭火焼きのサンマ5000匹やサンマのすり身汁4000食が参加者に無料でふるまわれた。町民やボランティアが次々とサンマを焼きあげ、白い煙と食欲をそそる匂いに包まれた会場には、旬のサンマを食べようと来場者の長い列ができた。宮城県塩釜市から家族で訪れた会社員、櫻井辰也さん(39)は「脂がのっていて本当においしいです。サイズも大きくてうれしいですね」と、笑顔で炭火焼きのサンマを味わっていた。
会場ではサンマが格安で販売されたほか、ホヤやホタテなどの女川町近辺の特産物を用いた食べ物を販売する屋台も多く出店された。海を背後に設置された会場のステージでは、女川町のご当地ヒーロー「リアスの戦士イーガー」や伝統芸能の「獅子振り」、パフォーマンス集団「電撃ネットワーク」らが出演し、会場を盛り上げた。 「全国さんま棒受網漁業協同組合」の調べによると、昨年の女川港のサンマ水揚げ量は、花咲(北海道根室市)、気仙沼(宮城県気仙沼市)、大船渡(岩手県大船渡市)に次ぎ4位の、2万4056トン。町の水産会社「岡清」の岡明彦さん(38)は「今年の水揚げのペースは少し遅れていますが、これから例年並みの水揚げ量になっていけば」と期待を込めた。
女川町は2011年の東日本大震災で20メートル近い津波に襲われ、町全体が壊滅的被害を受けた。今年4月にようやく女川駅が再建されたが、町の中心部はいまだ土盛りによる大規模なかさ上げ工事の最中で、多くの土地が建物が建つ以前の段階だ。岡さんは「少しずつ、街ができつつある。おいしいものも多く、色々なイベントも開催しているので、前に進みつつある女川町をぜひ見に来てほしい」と話した。 (安藤歩美/THE EAST TIMES)