AKB48だけじゃない じつは1970年代から続くアイドルと女子プロレスの接点
共通する“点”ではなく“線”で楽しむ魅力
女子プロレスラーもアイドルも、肉体を使った表現者としてそのパフォーマンスで観客を魅了するという点は共通しているが、両者にはさらなる類似点があるという。芸能評論家の三杉武氏はこう語る。 「プロレスラーも、アイドルも特定の空間でのその時点でのパフォーマンスだけでなく、その成長過程や生き様でファンを魅了する点も相通じるものがある。“点”ではなく“線”、現在だけでなく過去や未来も含めて楽しむファンの熱量に支えられている部分は大きいでしょう」 プロレスラーといえば、メインイベントやタイトルマッチに絡む人気レスラーになる前は誰しも先輩レスラーの付き人として雑用をこなし、デビューしてからも若手は前座試合などで技術を高めたり、経験を積んでいく。 アイドルもまた、メジャーな存在になるまではほとんど客のいないステージでパフォーマンスを披露し、グループやユニット内でも先輩メンバーたちのサポートをしたり、バックダンサーを務めたり、代役を務めたりしながら成長を遂げていく。 「それにプロレスもアイドルも『強さ』や『可愛さ』といった単一的な基準だけで評価が決まるものではなく、個性を武器にさまざまなタイプの魅力を持つ者が活躍できる土壌がある点も共通していると思います」(三杉氏)
プロレス挑戦は原点回帰
ドラマの撮影、そして今回のプロレス興行に向けてAKB48グループのメンバーたちは多忙なスケジュールの中、元プロレスラーのミラノコレクションA.T.氏や女子プロレスラーの下田美馬の指導のもと数カ月にも及ぶ練習に励んだ。 そんなメンバーたちの姿を見ていた秋元氏は、「リングの上で汗を流すメンバーたちの姿は、『AKB48』が結成して間もない頃のレッスン風景と重なる」と話していたという。 今や国民的アイドルとなったAKB48グループにとって今回のゼロからのプロレス挑戦は“原点回帰”になるとともに、7人の観客しか集められなかった結成当時を知らない今のメンバーたちにとっては大きな刺激になったことだろう。 ドラマに続き、ファンが間近で見守る中、リングに上がる彼女たちはどんな成長や変化を見せるのだろうか。 (文責/JAPAN芸能カルチャー研究所)