脱・日帰り県:泊まって奈良を満喫して! 訪日客向け宿泊施設「猿沢イン」
奈良県といえば日本を代表する観光地で知られるが、意外にも宿泊者数に関しては全国下位の常連。厳しい状況下で9年前にオープンした「奈良県外国人観光客交流館」(通称「猿沢イン」)は、滞在してこそ実感できる県の魅力を訪日客に案内している。
名所ぞろいの奈良市の中心で訪日客をおもてなし
「東大寺」の大仏、「奈良公園」の鹿、「春日山原始林」といった古代の文化と豊かな自然を満喫できる奈良への旅。昭和の頃から修学旅行の定番だ。近年は3件の世界文化遺産を有することもあって、国際空港や新幹線の駅がある東京・千葉・大阪・京都に次いで、多くの訪日客を集めている。 県内探索の拠点としてツーリストの評判を高めているのが、観光案内所と宿泊施設を兼ね備えた「奈良県外国人観光客交流館」(奈良市池之町)。近鉄奈良駅から徒歩10分、興福寺の南の猿沢池に面する立地から、インバウンドには「猿沢イン」の通称で親しまれている。 1階ロビーの観光案内所は誰でも気軽に立ち寄って、英語や中国語が話せるスタッフから旅のサポートを受けられる。英・仏・中・韓国語等の多言語のマップやガイドブック、12通貨対応の両替機、ムスリム向けの礼拝室といった設備とサービスが充実。また、英語・中国語の解説パネルを見ながら挑戦できる折り紙、筆ペンを使って気軽にトライできる簡単書道、着物コスプレ(いずれも毎日実施・無料)、茶道(週1回・有料)などのカルチャー体験も好評だ。 ホテルは周辺の相場より割安な上、共用キッチンやコインランドリーも設置。長期滞在しやすいので、移住者が住まい探しのために利用するケースも少なくない。素泊まりのみだが、繁華街に近くて食べる場所には困らない。 「飲食店を案内して地域でお金を使ってもらうことにつながっている」と運営元の県観光局・山ノ内奈央さんは説明する。ロビーには地元の物産品が展示棚にずらりと並ぶが、こちらも物販はせず、買えるお店を紹介している。