復活登板に大会史上初も…熱戦続いた身体障害者野球 春の全国大会 香川チャレンジャーズが史上最速で初優勝
KSB瀬戸内海放送
6月1日・2日に神戸市で開かれた第32回全国身体障害者野球大会。 【写真】優勝した香川チャレンジャーズ
香川チャレンジャーズは2023年秋の中四国大会で準優勝し、2年ぶりにこの大会に出場しました。 兵庫との1回戦は1回、ランナーを1塁において、2番・渡邊のセンターへのランニングホームランで2点を先制。チャレンジャーズはその後も得点を重ねます。 守ってはチームの代表も務める先発の山中達也(35)が兵庫に得点を許さず。コールド勝ちで全国大会初勝利を手にします。 【香川チャレンジャーズ 10‐0 兵庫のじぎく(3回コールド)】 2回戦の相手は、この大会連覇を狙う「岡山桃太郎」。 その岡山の先発マウンドに上がったのが、浅野僚也(28)です。 浅野は高校時代、伝統校・倉敷商業でエースナンバーを背負いましたが、2015年に交通事故で大けがをし、利き手である右手が思うように動かせなくなりました。 (浅野僚也 投手 [当時23歳]) 「人差し指と中指は、感覚がない。リハビリしているときに、先生に『右手って使えるようになりますか』と聞いたときに『もう野球はできないね』と言われて……」 それでも浅野はもう一度マウンドに立つことをあきらめず、練習を重ねていました。 (浅野僚也 投手[当時25歳]) 「(Q.やっぱりもう一回マウンドに立ちたい?)立ちたい。ピッチャーしたい。もう何でもいいんで立ちたい」 そして、約10年ぶりに立った公式戦の先発マウンド。事故のあと、右手で強くボールを投げられなかった浅野ですが、その球速は110km/hを超えるまでになっていました。 1回を0点に抑えた浅野ですが、2回はデッドボールなどでノーアウト満塁のピンチを招いてしまいます。 その後2アウトとするも、チャレンジャーズの1番、森にショートの後ろに落ちる先制の2点タイムリーヒットを許してしまいます。浅野はその後も失点し、3回途中5失点。チームも敗れ、悔しい結果となりました。 【香川チャレンジャーズ 6‐1 岡山桃太郎】 (岡山桃太郎/浅野僚也 投手 [28]) 「マウンドに立ちたい、という目標はずっとあったのでそこは良かったんですけど……。うれしさと怖さと悔しさと、たくさん味わったので、この秋、絶対リベンジしたい」 一方の香川チャレンジャーズは、岡山桃太郎に勝った勢いそのままに決勝まで勝ち進みます。 打線が好調のチャレンジャーズは、決勝でも1回に3点を先制するなど試合を優位に進めます。 しかし、この大会3試合目の登板となった先発・山中に疲れが見えると、北九州に反撃を許し、最終回には1点差まで迫られます。 なおも2アウト満塁のピンチから、痛恨の押し出し四球で追いつかれてしまいます。 それでも続く満塁のピンチは山中がショートフライに打ち取ってゲームセット。優勝の行方は大会規定によってじゃんけんで決められることになりました。 これを制した香川チャレンジャーズが結成3年目にして全国の頂点に立ちました!じゃんけんでの決着は大会史上初。結成3年目での全国制覇は史上最速でした。 【香川チャレンジャーズ 4‐4 北九州フューチャーズ(じゃんけんで香川が勝利)】 (香川チャレンジャーズ/山中達也 代表) 「大会前は『まず1勝』ということを目標にしていたんですけど、ライバルである岡山と戦って絶対に勝つというみんなの意気込みがすごかったので、それで戦えたのが一番大きかった。本当にこのチームで全国大会戦えて、もう本当に最高のチームでしたし、本当にみんなに助けられて最高のゲームができたと思います」
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