老後資金「2000万円」で余裕ある暮らしは無理!? 毎月「赤字」になってしまうの? 必要な金額について解説
「老後資金は2000万円あれば大丈夫と聞いたけどやはり心配」というように、老後資金については不安に思っている人は多いのではないでしょうか。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説 2019年に金融審議会市場ワーキング・グループが取りまとめた資料の公表によって、老後資金は2000万円必要という認識ができました。しかし、果たして本当に2000万円あれば老後資金は足りるのでしょうか。 本記事では、本当に老後資金は2000万円で足りるのか、2000万円あればゆとりある生活を送れるのか解説していきます。老後資金を早いうちに貯蓄しておきたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
老後資金2000万円問題の問題点
2019年、金融審議会市場ワーキング・グループが「高齢社会における資産形成・管理」を公表しました。 「高齢社会における資産形成・管理」の中には、「30年で約2000万円の取り崩しが必要になる」との記載があり、この数字が一人歩きして老後資金は2000万円必要という認識が広まりました。 しかし、この2000万円の取り崩しの話には前提があって、前提抜きで老後資金2000万円を貯めても生活に困窮するおそれがあります。 その前提とは「特別な支出を含んでいないこと」です。特別な支出とは老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用などを指します。 なお、公益財団法人生命保険文化センターによると、介護や支援が必要な人の割合は、80~84歳では25.8%、85歳以上では59.8%です。男性の平均寿命が81.05歳、女性の平均年齢が87.09歳とされており、特別な支出を無視して2000万円あれば老後資金は大丈夫と考えるのは危険です。
老後にゆとりある生活を送るには毎月37万9000円必要
金融審議会市場ワーキング・グループの「高齢社会における資産形成・管理」によると、老後資金2000万円の計算根拠は、老後の生活費の赤字が毎月5万円、これを30年払うという計算をしています。 しかし、この毎月5万円の赤字というのは、あくまで高齢夫婦(夫65歳・妻60歳)の無職世帯の平均的な年金収入や支出を考慮したものです。年金を主とする収入の平均値は約20万9000円、支出の平均値は約26万3000円です。果たして、この平均値で老後ゆとりある生活は送れるのでしょうか。 老後にゆとりある生活を送るには月にいくら必要なのかは、公益財団法人生命保険文化センターの2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」をみると月37万9000円必要とされています。 つまり、金融審議会市場ワーキング・グループが考慮した月の支出26万3000円と比べると、毎月約11万6000円もの差があるということです。