発祥の地に新たな風 新旧ピッツェリアの競演 軽やかさが魅力のコンテンポラリー
ナポリの人々にとってのソウルフードであるピッツァの店に、ここ数年変化が起きている。歴史ある老舗に加え若手職人が頭角を現し、新旧の魅力が百花繚乱。ピッツァ王国はますます面白くなっていた。 【画像】店の名前がついた“チンクワンタカロー” 9.50ユーロ。 2回に渡り新旧それぞれ3軒ご紹介。
小麦と発酵の研究を繰り返し、軽やかな生地を実現
◆DIEGO VITAGLIANO(ディエゴ·ヴィタリアーノ) 2023年の「50 トップ ピッツァ ワールド」で1位を獲得するなど、数々のコンテストでの受賞歴を持つ、注目のピッツェリア。 2016年にナポリ郊外のポッツォーリに最初の店を開いたオーナーのディエゴ・ヴィタリアーノ氏は、生地への研究心が高く、従来の発酵法とは違うやり方で水分量の多い生地を作り上げた。 軽やかで食べやすいピッツァは、ブームが終わったら消えるだろうと言われていたが、現代のライフスタイルとマッチして瞬く間に話題となり、昨年12月ナポリ市内に新たな店をオープン。 今や人気ピッツァ職人となったディエゴ氏だが子供のころは学校嫌いで、父親の手引きで市内の名店に修業に行かされ、技術を習得するまで帰ってくるなと言われて、この道に入ったそう。 ピッツァの世界にのめり込んだ彼は、グルテンフリーやラクトース(乳糖)フリーなど健康志向のメニューも取り入れ、発想豊かにさらなるピッツァの魅力を広げている。 DIEGO VITAGLIANO(ディエゴ·ヴィタリアーノ) 所在地 Via Santa Lucia 78, Napoli 電話番号 081 18220660 営業時間 12:00~15:15、19:00~24:00
伝統を学びその先へ、コンテンポラリーの先駆者
◆50Kalò di Ciro Salvo(チンクワンタカロー·ディ·チーロ·サルヴォ) ナポリ郊外で3代にわたりピッツェリアを営むファミリーに生まれたチーロ・サルヴォ氏。 彼が働いていた郊外のサンジョルジオ・ア・クレマーノの店は人気を博し、週末になると、噂を聞いて駆け付けたナポリの人々で大混雑していた。 2014年ナポリに初めて自分の店を持ち、店名の50はナポリの伝承でパンの生地、「Kalò」はギリシャ語由来で良いという意味で、「生地の美味しさを楽しんでほしい」という思いが込められている。 生地の軽さ、口当たりのよさが評判になり、すぐさま行列のできる人気店に。ピッツァにのせる素材にも力を注いでおり、スローフード協会の認定食材や、地元カンパーニア州の希少トマトや野菜、チーズなどを用いている。 使う具材をメニューに記載することも当時としては画期的だった。今ではミシュランガイドに載るイタリアのピッツェリア10軒に選ばれ、実力店として多くのファンに愛されている。 50Kalò di Ciro Salvo(チンクワンタカロー·ディ·チーロ·サルヴォ) 所在地 Piazza Sannazaro201/B, Napoli 電話番号 081 19204667 営業時間 12:00~16:30、18:30~24:30 定休日 無休 ※予約不可