明治時代の古地図「活用して」、根室商工会議所が市役所新庁舎に寄贈
北海道根室市の根室商工会議所(山田康志会頭)は22日、「市役所新庁舎に活用してほしい」と、根室の礎を築いた松本十郎開拓判官(1839~1916)が1871(明治4)年に作製した古地図「北海道根室国花咲根室野付三郡大略図」を寄贈した。 地図は、山田会頭の義父、北構保男博士(1918~2020)の古地図コレクションの一つで、初公開となる資料。山田会頭は「家で眠っているよりは有効に活用してもらえれば」と寄贈した。地図帳のような資料で、広げた大きさは高さ74㌢、幅145㌢で、そのまま額装して贈った。 地図は野付半島から南の根室半島一帯、北方領土を描いたもので、同年代の地図同様に北を下にした逆さまの地図だ。色丹島は「志古丹島」と字が充てられている。地名など一部朱書きで松本判官の直筆も残る。地図上には松本判官が自費で整備した納沙布岬や弁天島の灯(とう)竿(かん)、珸瑶瑁沖の浮標も図示されている。 松本判官は1869(明治2)年、政府から開拓判官を任ぜられ、移民や医師、職工ら約130人を連れて来根、「根室開拓使出張所」を開いた。漁場を希望者に割り与える漁業制度改革、自費で病院を建設するなど根室の礎をつくり、今も「松本町」に、その名を残している。 寄贈式には山田会頭と根商の野田敏専務が来庁。石垣雅敏市長は同地図を市長室に隣接する応接室に飾るとした上で、「来庁者の話題づくりに活用したい」と謝意を示していた。
釧路新聞