胸キュンフィニッシュ“恋つづ”上白石萌音のヒロイン力
全10話、常に攻め続けたスキのない展開
萌音については、2016年のアニメ映画「君の名は。」(新海誠監督)でヒロイン・三葉を演じたこともいまだ記憶に新しい。 舞台、映画、ドラマ、そしてアニメの声優などさまざまな経験を積んできただけに、“恋つづ”では感情移入できるヒロインとして佐藤健の相手役を申し分なく務めた。視聴率は後半から伸びて行ったが、ドラマ自体は初回から最終回まで全10話、終始“攻め続け”のスキのない構成だった。出演陣の芝居はもちろん、2人の恋の進展とともに毎回サイドストーリー的な見せ場も用意され、台本、演出、演技、すべてが噛み合って飽きさせることがなかった。最終回では、それまで観続けてきた視聴者の期待を裏切らない甘い胸キュンシーンのてんこ盛りで満足させた。社会的に深刻な話題が多い時期の放送となってしまったが、そういう世相にあって束の間でも私たちの気持ちをなごませてくれるエンターテインメントの存在価値を大いに見せてくれた作品だった。 この作品で女優としてまた新たなステップにのぼった感のある上白石萌音の今後に、引き続き注目したい。 (文:志和浩司)