KC-46、米空軍から15機追加受注 11ロット目で168機に
ボーイングは現地時間11月21日(日本時間22日)、米空軍から空中給油・輸送機KC-46A「ペガサス」を15機追加受注したと発表した。契約額は23億8000万ドル(約3670億円)で第11ロット分の受注となる。今回の契約により、同盟国分も含めた全体で168機分の契約が成立した。 【画像】KC-46の給油オペレーター席やコックピット KC-46Aは、民間向けは実現していない長距離貨物機「767-200LRF」をベースに開発された空中給油・輸送機で、日本が4機導入したKC-767の米軍仕様「KC-767 Advanced Tanker(KC-767AT)」を発展させたもの。767-200ERの胴体、767-300F貨物機の主翼・着陸装置・貨物用ドア・床、767-400ERのコックピットとフラップを組み合わせ、コックピットのディスプレイは787と同様15インチのものを装備した。 エンジンはプラット&ホイットニー(PW)製PW4062で、最大離陸重量は41万5000ポンド(約188トン)、搭載燃料は21万2299ポンド(約96トン)。空中給油のほか、輸送機として人員や物資、負傷者を運べる。 給油方式は、米空軍機が採用するフライングブーム方式のほか、米海軍・海兵隊機のプローブ・アンド・ドローグ方式の2形式に対応。ブームはフライ・バイ・ワイヤ方式の最新型で、給油オペレーター席には24インチの高解像度3Dディスプレイが設置された。また、前部胴体上部には自らブーム方式で給油を受けられる給油口を備える。 今年7月22日には、KC-46Aの任務遂行能力と性能を向上させるための契約を、米空軍とボーイングが契約額1680万ドルで締結したと発表。2023年3月に結んだ「Block 1(ブロック1)アップグレード契約」を基に、高度な通信、データ接続、状況認識能力をさらに強化し、航空機の生存性と紛争地域での運用上の優位性を確保することを目的としている。 7月の契約には、ミッションの迅速な開始を可能にする「Onboard Performance Tool」のソフトウェアをアップグレードする契約も含まれ、効率的な貨物搭載、飛行計画のための離着陸データ管理の改善が図られる。これらの機能強化で、乗員は重量バランス計算を効率的に行い、航空機への迅速な搭載と作戦開始が可能になる。 一方、不具合が起きている「RVS(Remote Vision System:遠隔視認システム)」の改良版は、2026年をめどに量産機へ搭載される見通し。 ボーイングはKC-46Aを最大250機製造する計画で、日本は6機発注済み。今年9月には、米国政府が最大9機のKC-46AをFMS(対外有償軍事援助)により日本へ売却することを承認したことから、空自のKC-46Aは最大15機になる。KC-46Aの前身となるKC-767は、2010年度から4機運用しており、空自の空中給油機は2機種合わせて最大19機となる見通し。 これまでに米空軍へ89機、航空自衛隊に4機を納入済み。2025年に計画されている空自向け5号機と6号機の引き渡しは、現時点では計画通りとなる見通し。
Tadayuki YOSHIKAWA