「廃棄はもったいない」コロナワクチンの保管庫どうする?廃棄か売却か…悩む自治体 3月で無料接種終了
野生鳥獣の検体を保管したり、引き取り先を探したり…
生後半年以上の全ての人を対象にした新型コロナウイルスワクチンの「特例臨時接種」が今月末で終了するのに伴い、国が県や自治体に無償で譲渡したワクチン保管用の冷凍庫や冷蔵庫の「その後」について対応が分かれている。長野県木曽地域の町村では無償譲渡する業者を募ったり、野生鳥獣の検体を保管したりと知恵を絞っている。 【写真】譲渡先を募った超低温冷凍庫 マイナス60~同80度まで冷やせる
「使えるところで使ってもらう方がいい」。上松町住民福祉課の担当者は超低温冷凍庫などのもらい手が出てきたことを喜んだ。
超低温冷凍庫、冷凍冷蔵庫1台、冷蔵ショーケース…
町は国からマイナス60~同80度まで冷やせる超低温冷凍庫1台、冷凍冷蔵庫1台、薬用冷蔵ショーケース1台などを送られ、昨年12月の集団接種までワクチン保管用に使った。同月、厚生労働省は自治体向けに、冷凍庫などは廃棄でき、処分の場合は売却や譲渡などできるだけ有効活用をしてほしいと通知。活用例に医療・研究機関、福祉施設への譲渡を挙げた。
町は役場での活用を模索。冷凍冷蔵庫は新型コロナ以外のワクチンや救護用品保管のために使うことが決まったが超低温冷凍庫とショーケースは用途が見つからなかった。町内業者に無償譲渡を呼びかけたところ、締め切りの今月28日までに複数の業者から申し込みがあった。
「冷凍庫が足りなかったので使わせてもらう」
南木曽町は超低温冷凍庫を農林係で使う。有害鳥獣を捕獲した際、検体を一時保管しており、担当者は「(検体が冷え過ぎてしまうので)超低温は性能が良過ぎるが、冷凍庫が足りなかったので使わせてもらう」と喜ぶ。冷蔵庫は町内の診療所に無償譲渡する。
漬物の研究への活用も検討
木曽町は木曽地域伝統の漬物「すんき」などを研究する町地域資源研究所で菌の保管に超低温冷凍庫を使う方向で検討。木祖村は冷凍冷蔵庫を村内の診療所、超低温冷凍庫を村外の医療機関に無償譲渡する方針で、村住民福祉課は「廃棄はもったいない。医療機関で使ってもらうのが一番いいと考えた」としている。