大河ドラマ「光る君へ」で話題、源氏物語はいつの時代も蘇る【作家・鈴木涼美のコラム】
「光る君へ」で描かれる紫式部像とは
パロディ作品を含めて時代背景を変えても愛される所以(ゆえん)は恋する女のタイプ別表ではなく、誰かに恋する女の心情の見本市のように、あるキャラクターがあまり登場しなくなってもまた別のキャラクターが自分の一面を照らし出すような作用があるからかもしれない。 女はいくつもの女を演じ分け、また自分でコントロールがきく範囲をこえてあらゆる生き物になりながら、厳しいこの世の中を生きている。 いくつもの登場人物に憑依(ひょうい)しながら味わう源氏物語は、自分の歴史を読むように強い愛着がわく対象なのだ。 「光る君へ」で描かれる紫式部像も、こういう女たちを描ける女がどんな光景を目撃し、また自分の中にどんな心情を発見して生きてきたのか、と気に掛けるとより興味深く味わえるかもしれない。
「光る君へ」はNHK総合で毎週日曜20時~(再放送は翌週土曜13時5分~)、BS・BSP4Kで毎週日曜18時、BSP4Kで毎週日曜12時15分から放送中。