スイスとEU、関係強化に向けた包括的取り決めに基本合意
Dave Graham Philip Blenkinsop [ベルン/ブリュッセル 20日 ロイター] - スイスと欧州連合(EU)は20日、貿易分野を含めた関係強化を図るための包括的な取り決めに基本合意した。ただスイス国内では反対も根強く、正式な批准手続きが完了するかどうかはまだ予断を許さない。 この取り決めは電力から政府補助、輸送、移動の自由やスイスによるEUへの資金拠出まで幅広い項目を含む。発効すればEUとスイスの経済的な結び付きがより強まり、スイス企業にとって重要なEU市場における事業活動の確実性が高まる。 スイスのアムヘルト大統領は、EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長と共同で開いた会見で「本日は両者の関係を安定化させ、さらに発展させる上での節目になる」と強調。フォンデアライエン氏はこの合意を「歴史的」と評価し、地政学的混乱が続く中でスイスとEUの強固な連携は必須だと述べた。 スイスとEUは1972年の自由貿易協定を出発点にさまざまな合意を通じて経済的な関係を拡大させてきたが、これらの合意が期限を迎えたり、一部はEUの法規制改正によって失効したりしている。 こうした中で今年3月から包括的な取り決めに向けた協議が始まり、法体系が異なる両者間の貿易での紛争解決方法など国家主権にかかわる問題で議論が尽くされた。 今後はスイスの議会と欧州議会がそれぞれ取り決め内容を承認し、スイスでは国民投票が実施されるのはほぼ確実。国内では右派が移民流入を巡る懸念、左派が賃金上昇鈍化への不安から反対の声を上げている。