「筑後川の鵜飼い」九州北部豪雨を境に計画通りに漁できず…出前ショーや運航見直しで存続に奮闘
組合、屋形船の運航会社、鵜匠の3者で協議し、運航の見直しに着手。これまでは連日船を出してきたが、お盆などを除き観光客の多い金~日のみに限定した。加えて、組合が屋形船をチャーターする形にし、乗客を旅館の宿泊客に絞った。川底が浅いため今年は大型の屋形船は使えず、例年より小型にしているものの、各旅館が積極的に案内する効果もあり、現状では定員近い乗客を確保できるようになったという。
ただ、井上組合長は「自然との闘いでもあり、来年も今の形のままできるかは分からない」とも語る。「存続するには知恵を絞らなければならない」
もう一つ、新たに始めた取り組みが出前のショーだ。「鵜飼いを間近で見れば、魅力が伝わるはず」。各地のイベントに呼ばれるようになれば、シーズン外でも鵜が活躍する場ができる。組合はそんな構想を描く。
元々、鵜飼いの技術は地域の三つの家で受け継がれてきたが、1軒が廃業し、今、漁に出ている鵜匠は臼井さんを含め2人のみ。臼井さんは「川の環境がすぐに良くなることはないだろうが、『見せ方』を工夫するなどしながら、文化を残していきたい」と前を向く。
◆鵜飼い=鵜飼いの歴史は古く、長良川うかいミュージアム(岐阜市)によると、「日本書紀」「古事記」にも鵜飼いに関する記述がある。現在、全国11か所で続けられ、九州・山口では、朝倉市のほか、大分県日田市、山口県岩国市に残る。岐阜市は「長良川鵜飼」について、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録を目指して活動している。