『レッド・ワン』ジェイク・カスダン監督、3度目のタッグを組むドウェイン・ジョンソンは「人間的にも文句のつけようがない唯一無二の存在」
ドウェイン・ジョンソン、クリス・エヴァンス共演のアクションアドベンチャー・コメディ『レッド・ワン』が公開中だ。まったく性格の違う2人の男がサンタクロースの行方を追う本作は、ジョンソン主演の大ヒット作『ジュマンジ』シリーズを手掛けたジェイク・カスダン監督の最新作。初顔合わせとなる2大アクション・スターを迎えた本作の舞台裏を、カスダン監督に聞いた。 【写真を見る】ファンサービスも神対応!3度目の共作となるジェイク・カスダン監督が語る、ドゥエイン・ジョンソンの魅力とは? クリスマス・イブの前夜、サンタクロースの護衛隊長カラム(ドウェイン・ジョンソン)の目の前で、サンタクロースのニック(J・K・シモンズ)が何者かに誘拐された。クリスマス中止という前代未聞の危機を前に、カラムは世界一の追跡者にして賞金稼ぎのジャック(クリス・エヴァンス)と組んで捜査を開始。やがて彼らは、横暴な人間たちに怒りを抱く邪悪な魔女の存在に行き当たる。 頑固な警備隊長と金のためならなんでもする無法者がコンビを組んで活躍する本作は、アクション&スペクタクル、ユーモア満載の痛快エンタメ超大作。クリスマスシーズンにぴったりの本作を監督したのがジェイク・カスダンだ。『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)の生みの親で、「スター・ウォーズ」シリーズでも活躍した脚本家ローレンス・カスダンを父に持ち、世界中で大ヒットした『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(18)と続編『ジュマンジ/ネクスト・レベル』(19)を手がけたヒットメーカー。本作でもスリルとアクション、ユーモアをブレンドした手腕を発揮している。 ■「会った瞬間から、彼らが互いにウマが合うと感じたことはわかりました」 ドウェイン・ジョンソンとクリス・エヴァンスを迎えたカスダン監督。2人について「すばらしいコンビネーションだった」と絶賛する。「ドウェインとはこれまで何度も仕事をしてきましたが、クリスと組むのはこれが初めて。私は彼がキャプテン・アメリカを演じる前からのファンで、いつか仕事をしたいと思っていたので、クリスの参加が決まった時は興奮しました。ドウェインとクリスはこのストーリーを語るのに完璧な俳優ですから、彼らが揃うと決まった瞬間、最高に楽しい作品になるのは明らかでした」とうれしそうに振り返る。 アクションもこなすスターとして定着しているジョンソンとエヴァンスは、これが初共演。カスダン監督の目に、現場での2人はどう映ったのだろうか。「どちらもスケジュールがびっしりで、顔合わせをしたのは彼らが前の仕事を終えたタイミング。それまで何度も電話で話しあってきましたが、実際に会ったのは撮影が始まる直前という時期でした。会った瞬間から、彼らが互いにウマが合うと感じたことはわかりました。終始にこやかに話し合い、素晴らしい現場になるだろうと確信しましたし、実際現場は笑いが絶えませんでした。どちらも最高のアクション・スターで最高の俳優ですから、アクションはもちろん感情に訴える演技もしっかり見せてくれました」。 人間の身勝手さに愛想を尽かせた護衛隊長カラムが、犯罪もいとわないジャックとコンビを組む中で誰もが良心を持つことに気づく本作は、伝統的なクリスマス映画の流れを踏襲している。そんな本作をカスダン監督は“クリスマス・アクション映画”だという。「企画の段階から、私たちはこの映画に、クリスマス映画とアション・ファンタジーという2つの要素を取り入れようと考えていました。参考にしたのはフランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』などクリスマス映画の名作たち。ストーリーは違いますが、特に初期のキャプラ作品の感性に通じるものを感じてもらえると思います」とカスダン監督。『素晴らしき哉、人生!』をお気に入りの映画のひとつにあげるカスダン監督にとって、そのエッセンスをアクション超大作にもたらすことが本作のテーマでもあったという。 ■「ドウェインとの仕事は、いつも前回とは違う旅になる」 本作にはヨーロッパに伝わる伝説の怪物クランプスや、童話でお馴染みのスノーマン、ギリシャ神話のメドゥーサや地獄の猟犬などファンタジーの定番キャラが数多く登場する。彼らとカラムたちのバトルも見どころだ。「神話の要素やクリーチャー、多くの人たちが親しんできたおとぎ話をまったく違った形で紡ぐというアイデアに強く惹かれました」というカスダン監督が特にこだわったキャラクターがトナカイ。サンタクロースのそりを引くかわいい姿でお馴染みのトナカイだが、本作では大柄でパワフルなクリーチャーとして描かれている。「個人的に最初に興奮したのは、トナカイを斬新に描くというアイデアでした。ただかわいいだけの動物ではなく、モフモフしたルックはそのままに力強いキャラクターにしようと思ったんです。サンタクロースの仲間であると同時に、神話に出てくるクリーチャーを意識しました。トナカイたちは映画の導入部分から登場するので、その後の活躍にどう繋げていくかだけでなく、この作品の世界観がどうあるべきかを示唆する試金石でもあると考えて作りあげました」 アクション・エンタテインメントの頂点に君臨し、本作のプロデュースも務めたジョンソンと仕事について「最高に楽しい時間」だというカスダン監督。「彼と初めて組んだ『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』以来、いつも楽しい時間を過ごしています。ドウェインの魅力は、ただ仕事相手としてすばらしいというだけでなく、常に協力的で僕がなにかやりたいことを提案すると、なんでも実践してくれるところです。プロデューサーでもある彼は、ストーリー作りの段階から全力で取り組み、プロジェクトを成功に導いてくれました。なんとしてもおもしろい作品を創ろうという姿には、いつも感心させられます。おまけにユーモア好きで愉快な男ですから、撮影現場はいつも活気に満ちています。仕事ぶりはもちろん、人間的にも文句のつけようがない唯一無二の存在です」と絶賛する。 これがジョンソンとの3度目のコンビ作となるカスダン監督は、本作ではこれまでにないジョンソンの一面が垣間見られたという。「本作のカラムは、『ジュマンジ』シリーズなどこれまでドウェインが演じてきた役柄とは違うタイプのキャラクターです。カラムはかつてない冒険を強いられ、危機に陥りそれを克服する人物です。2本の『ジュマンジ』でも彼は異なる顔を見せてくれましたが、今回さらに新しい一面を見ることができるでしょう。すばらしいコラボレーションが必ずそうであるように、ドウェインとの仕事はいつも前回とは違う旅になるのです」。 サンタクロースを救い出す過酷な冒険を通し、失われた「人の心を信じる力」を取り戻す男を描いた本作は、無敵のヒーローを演じてきたジョンソンにとって新境地といえる。2大アクション・スターの競演やサンタクロース奪還を巡るサスペンス、クリスマス・イブの奇跡を描いた心温まるストーリーなど見どころ満載の本作。「ドウェインが新たな役に挑戦するのを目の当たりにするのは、とてもエキサイティングな体験でした」とカスダン監督をうならせたジョンソンの名演も本作の魅力なのである。 文/神武段四郎