<春に挑む・’23センバツ海星>支える人/上 OBの鍼灸整骨院長・平山武沙史さん(31) 「3勝」できる体作りを /長崎
海星(長崎市)のセンバツ出場が決まった翌日の1月28日、同市今博多町の「Wing長崎鍼灸(しんきゅう)整骨院 めがね橋」院長の平山武沙史(むさし)さん(31)は、来院した田川一心主将(2年)から直接報告を受けた。海星OBで選手の体のケアを担う平山さんは「甲子園は、自分が出場できなかった夢の舞台。練習の成果を出し切ってほしい」と期待する。 小学生の夏、テレビで見た甲子園で、海星の選手たちが躍動していた。その姿にあこがれ、平山さんは2007年に海星に入学。3年生だった09年夏の県大会は控えの遊撃手としてベンチ入りしたが、3回戦で敗退した。 当時、部員は約100人。1学年下には日本ハムの江越大賀外野手、二つ下には元西武の永江恭平さんらがいた。レギュラー入りを目指して激しい練習を繰り返し、体を痛めることも多かった。 平山さんは「選手が体を壊さないようサポートをしたい」と考え、高校卒業後はスポーツトレーナーを志した。長崎市の鍼灸整骨院で働きながら専門学校で学び、柔道整復師、鍼灸師の資格や柔道整復師の専科教員免許を取得した。 17年からはプロ野球選手らにも施術する大阪の鍼灸整骨院で働き、阪神タイガースに在籍していた江越選手のメディカルトレーナーを3年間担当。平山さんは「プロは体の使い方がうまい。動きを見て、けがをしない正しい体の使い方を覚えた」と振り返る。 22年2月に長崎市の現職場の院長となった。同市宮崎町のグラウンドに出向いて、選手に体の使い方を直接指導することもある。野球部の井手口慎副部長(34)は「平山さんに教えてもらったトレーニングを朝練などに取り入れている。選手の筋肉量や体の状態をデータ化して助言をくれるので、一人一人に適した練習メニューが組める。アドバイスをもらうようになってから、故障者が激減した」と話す。 22年夏の甲子園で、海星は3回戦で近江(滋賀)に敗れ8強入りを逃した。トレーナーとして同行していた平山さんは「昨夏の甲子園で選手たちは疲れていた。それを教訓に新チームは体幹をメインに鍛え、疲れにくい体作りをしてきた。もう一段レベルを上げ、目標の『3勝』を達成してほしい」と語った。【松本美緒】 〔長崎版〕