1月の注目ドラマ『ホットスポット』で主役を演じる、市川実日子にインタビュー
2025年1月期の注目ドラマ『ホットスポット』で主役を演じる市川実日子。地球外生命体との交流が主軸というオリジナル脚本でまだ謎が多いなか撮影がスタートした11月中旬に話を聞いてきた。
「武田百合子さんの『富士日記』が大好きで。ロケ地の名前を聞いた時に、あ!あの町だ!とワクワクしました。まさか憧れのその土地で宇宙人と交流することになるなんて(笑)」 思いがけない偶然を楽しむ姿が印象的だ。民放連続ドラマで初の主人公を務める『ホットスポット』は、昭和レトロな光景が残る富士吉田が舞台である。そこに潜む地球外生命体と市川が演じる遠藤清美との遭遇によって、不思議な出来事が起こるかもしれない日々を描く。まずは、オファーがあった時の感想をたずねた。 「えー!と、びっくりしました。私を主演と考えてくださる方がいるとは。同時に、プロデューサーの小田玲奈さんがおっしゃっていた『全スタッフがちゃんと食べて休む。人間らしい生活をしながら、ものづくりをする現場を目指します』というスタンスに共感しました。きちんと寝るために製作スケジュールは前倒しされていて、通常1月クールの作品は11月に衣装合わせが始まるかどうかのタイミングなのですが、今回は11月頭から撮影が始まっています。個人的には富士吉田でクランクインできてうれしかったです。清美が生まれ育った町の空気を吸って、お風呂に浸かることによって、自分自身と混ざったような気がして」 清美になるうえで、ある感覚を大切にする。 「私自身があまり面白がらないようにしています。バカリズムさんの脚本は喫茶店の隣の席で繰り広げられているような会話の連続で、肩肘を張らないというか、とっても自然なんですよね。面白くしようと考えてしまうと、なんかちょっと鼻が膨らむじゃないですか。"面白いことを言う私"という意識は、作品の邪魔になってしまうと思うので、とにかく"力まない"。それでもやりとりを重ねると楽しくなってきて、力んでしまうことも多くて。製作を開始して間もない今はみんなで『ホットスポット』の温度を作っているところでもあるので余計に、ですね」 登場人物は突飛だとしても、物語はあくまでも"普通の毎日"を描く。だからこそ淡々としたテンションが重要になってくる。 「監督がちゃんと抑えてくださるので、安心しています。観てくださった方に『実は、私の日常って愛おしいのかも』と思っていただけるような作品になったらと。ドラマはどうしても自分とは関係ない遠い世界の出来事だと感じてしまいますよね。しかも、今回は宇宙人まで出てきます。だからこそ、なるべく自然に。平熱に……」 ちなみに主演となるとセリフも増えるもの? 「みんながボソボソと発言しながら物語がテンポ良く展開していくので、全体的に多いかもしれません。私は基本があまり早口ではないから、追いつかなきゃ!と、ソワソワすることもあります。また、目の前で起こるハプニングを大切にするためにも、自分の中に言葉を染み込ませることは必要だと思います」 ところで、スタイリングを手がけるのはBabymixだと小耳に挟んだ。GINZAとしてはその衣装も気になるところだ。 「そうそう!『ブラッシュアップライフ』で全員の服が茶色で統一されているコーディネートを見て、その美しい角度に感動していました。だから、ご一緒できてうれしいんです。今回は80年代のにおいも漂っていますよ。幼なじみ役の(平岩)紙ちゃんは昭和のおかんみたいなジャンパーを着用し、(鈴木)杏ちゃんは黄色、ピンク、緑色みたいなカラーリングだったり。そんな格好をしているからなのか、3人で小さかった頃の昭和や平成の話ばっかりして、盛り上がっています」 本番ではないところのおしゃべりも"平熱"を保つ秘訣でありそうだ。最後に宇宙人の力を借りるとしたら何を頼むか聞いてみた。 「個人の問題で言うと、セリフをパッと覚える力を貸してほしいですね。人類としては地球で起こるさまざまな争いの解決策を相談したい。育った惑星が違うからこそ、私たちには浮かばない新しい視点を授けてくれそうじゃないですか」 ●『ホットスポット』 生まれ育った町で暮らすシングルマザーの遠藤清美は、ひょんなことから宇宙人と出会う。それを機に地球平和のために活躍……!というわけではなく、公私で起こる事件の解決を頼むようになるのだが。派手な出来事はない、日常を綴った「地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー」。脚本のバカリズムを筆頭に、ドラマ『ブラッシュアップライフ』チームが再集結。2025年1月12日から(毎週日曜22:30~日本テレビ系列)放送開始。 ●市川実日子 いちかわ・みかこ>> 東京都生まれ。近年はドラマ『À Table!~ノスタルジックな休日~』や映画『ラストマイル』『ルート29』に出演。ロケ地である富士吉田の土を踏み、空気を吸ったら、安心感を覚えたそう。 Photo_Emiko Tennichi Styling_Aya Tanizaki Hair&Make-up_Yuko Aika Text_Mako Matsuoka
GINZA