<TPP>消費者のメリット・デメリットは?
日本は7月からTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に参加する見通しです。TPPに入ると、消費者にはどんなメリット、デメリットがあるのでしょうか。 まず、関税の撤廃や引き下げで輸入品が安くなります。かばんや靴などには現在10%前後の関税がかけられ、その分値段が高くなっています。関税が下がれば、アメリカなどのブランド品が安く手に入るようになるでしょう。 輸入牛肉の小売価格は1割ほど安くなるといわれ、外食業界の値下げも予想されます。コメの関税(778%)が引き下げられれば、安いコメが出回るようになるでしょう(ただし日本政府は、国内の農業を保護するため、コメ、麦、牛・豚肉などを関税撤廃の例外扱いにするよう交渉で求めていく方針です)。 TPPでは食品の衛生基準も話し合われます。外国のルールに合わせることになると、残留農薬の規制基準が下げられたり、遺伝子組み換え食品の表示がなくなるかもしれず、食品の安全性に不安を感じる人もいます。 医療の分野ではどうでしょうか。日本には、すべての国民が公的医療保険に加入し、保険料を支払う代わりに少ない負担で診療を受けられる「国民皆保険制度」がありますが、TPPによってこの制度が崩壊するのではないかと心配する声もあります。 注目されるのは、アメリカが求める「混合診療」の解禁です。混合診療とは、保険診療と保険外診療を併用すること。現在、保険で使える薬の値段や診療費は国が決め、安く抑えていますが、あまり高額な治療や薬は保険の対象にできません。混合診療の解禁によって、病院や製薬会社が高額の自由診療や最新薬に力を入れるようになると、保険で賄える範囲が縮小し、貧しい人が十分な医療を受けられなくなるかもしれないというのです。 ただし混合診療には、同じ病気でも患者によって治療法や薬を自由に選べるというメリットがあり、国内にも解禁を求める意見があります。 以上のようなTPPのメリット、デメリットはまだ確定しているわけではなく、今後の交渉次第といえます。