万引きを繰り返し、幾度も懲役刑…85歳の女 弁護側が主張「窃盗症(=クレプトマニア)」とは?
女は、スーパーの物を店の外に持って出たことは認めるものの、窃盗の意思はなかったという旨を述べました。 さらに検察官は、犯行時、買い物かごには総菜3点ほどが、トートバッグには総菜6点が入っており、トートバッグの中のほうが商品が多かったことを指摘しました。女には同様の手口での犯罪歴がありました。 論告求刑で検察官は、女の供述内容と防犯カメラ映像が矛盾していること、女は現在一人暮らしで適切な監督者がいないことなどから、懲役3年の実刑判決を求刑しました。 一方、弁護側は万引きを繰り返してしまうのは「窃盗症」による影響で、自分ではコントロールできないと主張。すでに85歳と高齢で、長期の懲役は酷などとして、懲役1年6月を求刑しました。 判決は6月21日に言い渡されます。 ■▽窃盗症とは 女の弁護士が主張する「窃盗症(=クレプトマニア)」とはどういった病気なのでしょうか。クレプトマニア医学研究所の福井所長に話を聞きました。 クレプトマニア医学研究所 福井裕輝 研究所長 「窃盗に対する依存ということです。つまり窃盗するということは、何らかの金銭的な利得があったりするわけですけども、そういった目的ではなく、窃盗行為に対するドキドキ感とか、快楽を求めて繰り返しやってしまう。そして、それを自分で止めようと思っても止められないというような状態です」 そして、窃盗症の診断には、以下の基準が挙げられているそうです。 (DSM-5の場合) A.個人的に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗ろうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される B.窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり C.窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感 D.その盗みは、怒りまたは報復を表現するためのものではなく、妄想または幻覚への反応でもない E.その盗みは、素行症、躁病エピソード、または反社会性パーソナリティ障害ではうまく説明されない ■▽発症の原因やきっかけは? クレプトマニア医学研究所 福井裕輝 研究所長 「ほとんどの場合において、幼少期ないし、中学高校の若年の間に、何らかのトラウマのような体験を持っている場合が非常に多いです。 例えば、育った家庭がきちんと機能していない、夫婦仲が悪い、日常的に家庭内で暴力がある、親から性的な虐待を受けたなど、そういったケースなどです。 精神的、あるいは肉体的、あるいは性的のトラウマを負っているというような中で、「摂食障害」、「強迫性障害」などと合併しながら発症するということが非常に多いです」
そして、治療には主に「認知行動療法」と呼ばれるカウンセリングなどが用いられ、完治には5年~10年と長い時間を要する場合が多いということです。
山陰放送
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