<リベンジの春・’23センバツ>2月の助走/上 クラーク、東海地方で合宿 冬の筋トレ、成長実感 /北海道
◇屋外で実戦感覚取り戻す 甲子園で活躍できますように――。2月3日、クラーク記念国際の選手たちの姿は、伊勢神宮にあった。1月27日にセンバツへの出場が決まり、すぐに三重県熊野市で5泊6日の合宿。その後の神宮の参拝だった。厳かな雰囲気から解放されると、選手たちの気持ちが爆発する。「張り切っていこう!」「やるぞ!」。気合をみなぎらせ、次の合宿地である愛知県岡崎市に向かった。 岡崎市での練習場は「岡崎レッドダイヤモンドスタジアム」だ。2月4日は快晴。ひんやりとした風が吹き、肌寒さを感じるが、北海道で「当たり前」の雪景色は当然ない。土の感触を確かめる選手たちからは「北海道の冬とは比べものにならないくらい暖かい」との感想が漏れる。この日の岡崎市の最高気温は12度。クラークのある深川市は同時期、氷点下15度を下回り、大雪もめずらしくない。 今回の道外への遠征の狙いは「感覚を取り戻すこと」だという。学校のグラウンドが雪に覆われてから3カ月。ずっと屋内練習場で汗を流してきた。遠征は、実に2022年11月の明治神宮大会以来の屋外練習の機会だ。風の影響や球の跳ね方、太陽のまぶしさ……。何よりものびのびと体を動かすことができる。屋内練習場で確認できないものがグラウンドという空間に山ほどあった。 「冬の期間に取り組んできた筋力トレーニングと基礎練習がどれだけものになっているか」。佐々木啓司監督(67)は選手たちの動きに目を光らせる。三重県での合宿が始まった当初は、ノック練習で守備にミスが出たり、打撃練習で思うように球を捉えることができなかったりと屋外練習のブランクを感じさせる選手が少なくなかった。しかし、わずか数日で感覚は戻り始めているようだ。 高木馴平(2年)は「打っている感覚は昨年よりもよくて、筋トレの成果が出ているようだ」と成長を実感する。佐々木監督も「秋に比べてすごくよくなっている。プレーの正確さ、打撃の強度。選手の成長を感じるね」と言う。雪国というハンディへの恨み節は選手たちから聞こえてこない。冬の小さな積み重ねを「実戦」にどれだけ反映させられるか。それが大切だと理解しているからだ。 ◇ ◇ クラーク記念国際は北海道を離れ、東海地方で1月29日から2月7日まで合宿を行った。本番まで残り1カ月。甲子園に向けた「助走」を2回に分けて報告する。