原城跡に島原の乱・一揆軍の十字架工房とみられる遺構 「結束図る目的か」
長崎県南島原市教育委員会は世界文化遺産「原城跡」の二ノ丸の発掘調査で、島原の乱(1637~38年)で籠城したキリシタンを含む一揆軍が十字架を作った工房とみられる遺構などが見つかったと発表した。「一揆の結束を高めるためにも信心具が必要だったのではないか」としている。 【写真】発掘調査の出土品の一部 二ノ丸の調査は2018年度に開始。今回の遺構や出土品は、22年度から保存・整備のため540平方メートルで実施した調査で見つかった。二ノ丸の北西部では、遺構の壁面にかまど状のくぼみがあり、炭や焼けた土が散布。周辺から鉛製の十字架や鋳型も見つかったことから、銃弾を溶かして鉛を鋳造する工房としても使われたと推定した。 出入り口に用いられた「虎口(こぐち)」の柱跡や、一揆時の塹壕(ざんごう)に使われたとみられる堀状の遺構も発見。南西部では、建物跡や柱の並びの特徴などから二ノ丸が本丸と同じ近世初期に整備されていたことが分かった。 市教委は4月28日、現地説明会(午前10時半と午後1時半)を開く。5月3日~7月3日は、出土品の展示会を同市南有馬町の有馬キリシタン遺産記念館で開催。遺構は保護のため、5月中に埋め戻す予定という。市教委文化財課=0957(73)6705。 (貞松保範)