ゴールドマン、商業用不動産ローンを選好-他社が恐れる証券に機会
(ブルームバーグ): 負債の壁、資金調達難、物件価値の急低下が商業用不動産に迫り、投資家や銀行を脅かしているが、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントは商業不動産ローン担保証券(CMBS)を買っている。
「空室率が非常に高く、資本コストや負債コストに問題のある不動産が存在するからといって、資産クラス全体に問題があるわけではない。当社はCMBSに多くの機会を見いだすことができた」と、マルチセクター投資責任者のリンゼー・ロスナー氏が語った。
ロスナー氏によればCMBS「人々が神経質になっていた」市場だが、同氏は「非常に望ましい特別な物件」に焦点を絞っている。リモートワークが続いておりオフィスが全面的に回復する可能性は低いため、選別が必要だと同氏はブルームバーグのポッドキャストで語った。
ロスナー氏によると、ゴールドマンは物流に使われる産業用倉庫を担保としたローンにも価値を見いだしており、社債よりもCMBSを選好している。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって空きビルが発生しデフォルト(債務不履行)が続出するという悲観的な予測にもかかわらず、商業用不動産ローン債権は今年、投資適格社債を上回るパフォーマンスを上げている。
同氏はCMBSについて「相対的な価値が確かにある」とし、「CMBSは当社のポートフォリオのかなりの部分を占めており、適正なキャリーを生み出していると思う」と語った。
ロスナー氏は「まだ利回りがある」ため、クレジット市場の見通しにはおおむね前向きで、景気は軟化しているものの、米国の景気後退の確率は15-20%程度に過ぎないとみている。
ゴールドマンは投資適格債では金融セクターを選好。「米国のマネーセンター銀行だけではなく、選挙を巡る不透明感があったフランスの銀行にも投資機会があった」とロスナー氏は語った。一方、ユーティリティーセクターはグリーン転換のコストが高いことから敬遠しているという。